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テイルズ魔術をプリヤ世界にぶちこんでみたかった。

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まぁいいけど、今回はあんまり自信作じゃないぜ」

「またまたご謙遜を〜」

 そんな難しい言葉をどこで覚えてきたんだ。いや、十中八九テレビか。現代っ子は親よりテレビから言葉を教わることが多いらしいからな。

 しかし言われてしまったからには乗り気でなくとも見せなくてはならない。本当に自信がないんだけどなぁ。ため息混じりに引き出しから一枚の紙を取り出して提示する。
 紙はそこら辺に売っている方眼ノートから切り取ったもので、これが僕の趣味に一番適した用紙だ。紙には丸や正方形や台形、縦横斜めと縦横無尽に描かれていて、それらが合わさって幾何学的な物となっている。

 所謂、魔法陣というもの。これを描くのが、いくつかある中でも主な趣味なのだ。

「おぉ〜……なんかよくわかんないけどすごい! すごいよこれ!」

「お前、それ前見せた時も同じこと言ってたぞ」

「それぐらいすごいの! これは、なんの陣?」

「んー……そうだな、前が焔の陣だったから、今回は風の陣……だと思う」

 その言葉に彼女は眉を細めると、こう言った。

「また、いつもの夢(・・・・・)?」

 その言葉に、僕は軽くうなずくことで肯定の意を示す。
 前述した通り、僕は夢を見ることが好きだ。ただその夢の内容は、あまりにも現代科学からかけ離れているもの。夢とは脳が記憶の整理をした場合に発生する現象であり、これから夢に出てくるのはどこか見覚えのある光景であったり内容であったりすることが多い。
 それに当てはめて考えるのならば、僕の夢はあまりにも逸脱している。

 夢には、ある男が出てくる。そのある男は色んな人に囲まれていて、帆もエンジンもない船で海を渡り、空を駆け、見えた人全てを救っていく。そんな偉大で愚かな男が夢の中での主人公だ。僕は彼の目で物を見ていて、所謂彼の追憶というものを体験している。
 その世界はお伽噺のように夢があって、けれどどこか生々しい現実が散らばっていた。目の前に現れる様々な異形の存在、放たれる数々の技と奥義、そしてきらびやかで合理的な魔法。男はどちらかと言えば理系であったようで、魔法を使うのに長けている存在だった。

 この魔法陣は、その男が使っていたものだ。実際にこの魔法陣を使ったところを見たわけじゃない、というか戦闘中は常に視点が目まぐるしくて陣に意識を向けている時間など一秒もない。僕がこうして魔法陣を描けているのは夢から覚めた僕の脳内に、これが焼きついてしまっているからだ。訳も理由も原理もわからないが、そういうものなのだ。僕はそれがいつまでも残っている違和感を嫌って、こうして紙に陣を写し出しているのだ。
 それを運悪くイリヤスフィールに見られてしまって、こういう関係に至っている。

「一回、誰かに見てもらおうよ。
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