僕
[1/5]
[1]次 最後 [2]次話
この世界、『地球』。平和で、穏やかな世界。家が立ち並ぶ住宅街を一歩抜ければ、そこは人工物が広がるコンクリートジャングル。平原は無く、森も立ち並ばない。特にこの日本大陸にはそういう場所は数少なく、人口数の多いこんな街ではそれが常識的である。
ここに遠方の人とも会話や伝文のできる機械がある。これは正しく人間にとって画期的な発明であり、これのおかげで人類は飛躍的に進歩したといっても過言ではない。
もう外に出て命をかける必要はどこにもないのだ。それだけでも十分と言える。少なくとも、僕にとってはだが。
しかし素晴らしい、こうしてベッドから起き上がらずとも意思を伝える手段があるというのは本当に素晴らしいことだ。指ひとつを動かして文字をうち文章と成し送信すれば、はい終わり。これで僕はまたこのベッドから出れずじまいではあるが、その代わりに確かな平穏と言うものを手にいれた。
さぁ、そうと決まれば夢の続きを見るとしよう。朝日よ、おやすみなさい。次に出会う君は頬染めた血色のいい君になっていることだろう――――
「起きなさーーーーーいっ!」
「なにしやがんだてめぇッ!」
「なんでそんな強気に出れるの!? 学校に遅刻するからって起こしてやったのに!」
「お前はあれか? 文字を正しくできない脳でも持ってるのか?? 僕メールでなんて送ったっけ???」
「えーっと、『体がだるいので今日は休みます。先生にもよろしく伝えてください』だっけ」
「よーく分かってるじゃないか。じゃ、そういうことだから」
「そういうことだから、じゃなーい! そんなの許されるわけないじゃない、ほら起きた起きた!」
「やめろーッ! 僕からもうなにも奪わないでくれーっ!」
「ただの布団だよ! っていうかくっつかないでよ! き、気持ち悪い!」
男子が女子から言われたら傷つく言葉No.1を平気で口に出せるお前が僕は一番恐ろしい。今のは普通に傷ついたぞ。
だがもう布団は連れ去られてしまったのだ。今更どうこうしても言い訳並べてもこいつには通じないし、なによりこれ以上は迷惑だろう。それに、愛想つかれるかもしれない。それは少し嫌だ。
◆◆◆
人物紹介をしておくべきだろう。まずはこうして君たちに語っている僕は、まぁ僕だ。特に面白い名前でもないし変わったあだ名があるわけでもない。というより、あだ名をつける場合どうしたものかと困ってしまうような、そんな字面と字数をしているのであだ名がつけられないと言うべきだろう。どちらかと言えば理系が得意であり、趣味はちらほらとある感じ。ようするに僕は普通の小学生と言うべき存在だろう。
好きなことは、夢を見ることだ。人生の目標だとか叶えたい存在
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ