機動戦艦ナデシコ
1463話
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も、その古代火星文明のおかげでナデシコが設計されたんだから、私達にとっては仲人よね」
「ああ。……うん?」
遺跡に目を奪われていたテンカワに、ユリカが次々に喋り続ける。
この辺、物凄いというか、攻めの姿勢を崩さない辺りユリカらしい。
しかも仲人という言葉に気が付かずに頷きを返したテンカワに、自分との仲を認めたと判断したのか、キャーキャーと黄色い悲鳴を上げている。
……恋愛に関しては押しの弱いテンカワだ。そのうちユリカにパックンと食べられてしまう未来しか見えないのは、俺の気のせいか?
まぁ、いつまでも叶わない相手に恋をしたままよりは、そうした方がいっそさっぱりと気持ちを切り替えられるのだろうが。
それに幼馴染み……それも10年近く前の幼馴染みとくっつくなんてのは、よくあるパターンだろう。
中には幼馴染みとくっつくなんてのは幻想だとかいう奴もいるが、それは義妹以外の妹はいないとか、そういうのに近いと思う。
「ちょっと!」
テンカワとユリカのやり取りを眺めながらそんな風に考えていると、不意に悲鳴のような声が聞こえてくる。
慌ててそちらを見ると、そこにいるのはエリナだ。
そしてエリナが指さしているのは、コアユニット。
何だか妙な光がコアユニットから発しており、それはやがて遺跡全体へと広まっていく。
「レモン!?」
咄嗟に叫ぶが、レモンは首を横に振る。
「分からないわ。私たちが何かをした訳じゃないのは間違いないけど……」
だとすれば……もしかして一定以上の人数がここに来れば自動的に何かの機能が働くとかか? それとも、ディストーションフィールドを無視したからか……
「皆、集まれ。取りあえずこのままだと危ないかもしれないから、一旦地上に退避を……」
「大丈夫よ」
そう言って俺の言葉を遮ったのは、イネス。
まるで何かの確信があるかのように、笑みすら浮かべてそこにいる。
何だ? 何かあるのか?
そんな風に思った瞬間、コアユニットが唐突に眩く光り……そして次の瞬間には、コアユニットの近くに小さな人影があった。
ラピスと同じくらいの年齢の子供。
何故か手にミカンを持っているその子供は、呆然と周囲を見回していた。
……どこから現れた? いや、違う。それは俺も分かっている。
何故なら、その手の技術はシャドウミラーでも日常的に使われているのだから。……即ち、転移。
だが、そうなるとこの子供は誰だという事になる。
「アイちゃん!?」
遺跡に、テンカワのそんな驚愕の声が響き渡るのだった。
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