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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
225部分:第三十一話 武漢にてその二
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第三十一話 武漢にてその二

「この湖でな」
「ではミシェイル様、ここで我等も」
「そして残っているインプ達も」
「そうだ。決戦だ」
 彼は言うのだった。
「この湖でな」
「しかしここで戦うには」
 狂闘士のうちの一人が怪訝な声で言ってきた。
「いささか地の利がありませんが」
「そうです。水で戦うには向こうも不得手ですが」
 別の狂闘士も語る。
「こちらもです。何かと制約があります」
「しかもそれは意味のないものです」
 そのことも話されるのだった。
「ですからここで戦うとすると」
「効果的な戦いはできないものと思われますが」
「案ずることはない」
 だがミシェイルの言葉は冷静なままであった。そこには微動だにしないものがあった。
「それはな。案ずることはないのだ」
「ではやはりお考えがあるのですね」
「ここでも」
「考えがなくして戦いの場を選ぶことはない」
 ミシェイルの言葉は変わらない。全てを計算している、そうした言葉だった。
「少なくともこのミシェイルはな」
「そうですね。それではここは」
「ミシェイル様の考えられるままに」
「全て任せておくのだ」
 言葉はそのままだった。
「このアスタロトのミシェイルにな」
「畏まりました」
 九人全てが中心にいるミシェイルに対して恭しく頭を垂れるのだった。そうしてそのうえで今聖闘士達を待ち受けていた。決戦を。
 その彼等が来た場所は周りが緑の原に覆われているその青い湖のほとりだった。青い湖は何処までも澄んでおり草は緑の絨毯となっていた。しかしそこにあるのは清々しさではなかった。
「感じますね」
「もう隠す必要もないってことですね」
「その通りですね。ひしひしと感じます」
 アフロディーテもそれは既に感じていた。聖闘士は皆聖衣をその身にまとっている。彼等もここが決戦の地とはっきりと認識している証拠である。
「今にも襲ってきかねないばかりのものを」
「来ますね、絶対に」
「もうすぐそこにいます」
 アフロディーテはここでまた言った。
「彼等はもう」
「!?」
 他の聖闘士は今の彼の言葉に顔色を一変させた。
「もうですか」
「ここにいるのですか」
「そうです、います」
 アフロディーテは冷静に言葉を出す。しかしその小宇宙は既にかなりのものでありそれを周囲にもはっきりと向けているのだった。
「すぐそこに」
「というと今にも」
「出て来ると」
 皆身構える。そしてここでであった。
「何っ、見ろ!」
 ラシャーが叫ぶのだった。
「湖を!」
「何っ、水が!」
「凍っていくだと!」
 ワルターとペテルもまた叫んでしまった。何と彼等の右手に広がっている湖の水が瞬く間に凍っていったのである。そう、一瞬にであった。

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