221部分:第三十話 黒薔薇の香りその三
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第三十話 黒薔薇の香りその三
「できれば。紅薔薇で済ませたかったのですが」
「では何故」
「あえて紅薔薇を使わずにそれを」
「考えあってのことです」
ここでは目を閉じ静かに述べるのだった。
「私なりに」
「お考えがですか」
「それにより」
「そうです。さて、先を急ぎましょう」
闘いを終えたならばもうここに留まっている理由はないということだった。
「武漢に。彼等が待つ武漢に」
「ええ、そうですね」
「それじゃあ」
シオンとラシャーがそれに応える。
「先を急ぎましょうか」
「敵は待ってくれないですしね」
「じゃあアフロディーテ様」
「出発しますね」
今度はワルターとペテルが言ってきた。
「俺達が操縦しますんで」
「早いうちに」
「はい、御願いします」
アフロディーテも彼等に対して頼むのだった。
「それで」
「では出発しましょう」
ミスティが最後に言いそうして向かった。アフロディーテはまたしても彼等を退けた。そうしてそのうえで武漢へと船を進めていくのだった。
その頃武漢近辺の山の上で。またミシェイルを囲んで彼等がいた。そうして彼に対して報告していた。
「そうか、今度はか」
「はい、黒薔薇です」
「それを使いました」
彼に早速ピラニアンローズのことを話していた。
「技の名前はピラニアンローズといいます」
「それでインプ達を一瞬のうちに」
「今度は速やかな死だな」
ミシェイルはそのことも確かめるのだった。
「ロイヤルデモンローズとはまた違い」
「はい、その通りです」
また一人が彼に答える。
「まさに一瞬でした」
「そうか。一瞬か」
「ロイヤルデモンローズが穏やかな死を迎えるのと正反対に」
「黒薔薇の花びらが舞ったかと思うと」
「わかった」
ミシェイルはそこまで聞いたうえで頷くのだった。
「次の技はそれか。黒薔薇か」
「これでピスケスの技は二つですね」
また別の一人が言った。
「紅薔薇と黒薔薇」
「その二つですか」
「いや」
「その二つだけとは限らない」
「といいますと」
周りの者達は今の彼の言葉に対して問うた。
「まだあるのだと」
「そう仰るのですね」
「そうだ。まだある可能性がある」
彼は言うのだった。
「黄金聖闘士は多くの技を持っているのが普通だ」
「そうですね。キャンサーやカプリコーンを見ていると」
一人がそこに気付いた。
「多くの技を持っていて普通です」
「それを考えれば」
「そうだ。まだあると考えるのが自然だ」
ミシェイルは言う。
「あの男ならばな」
「それではミシェイル様、ここは」
「どうされますか?」
「ピスケスも愚かではない」
彼はこのことも読んでいた。
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