飛び降りる姉
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に宿を出るなんて。無理だよそんな体で…」
「無理じゃ無いっ!この世にはねぇ、やってやれないことはないのよっ!ノエル、姉さんについてきなさいっ!荷物はちゃんと持ったわね!?」
あたしは窓をバカンと大きく開け放った。既に階下にアムの姿は見えない。うそ、もう中に入ったんだ!部屋の入り口には鍵がかけてあるとは言え、それも時間の問題だ。はっきり言って、アムは強い。ノエルを背にしてあたしが絶対に負けられないのは別にしても、そもそもこんなへろへろの体調じゃデコピンでも瞬殺されそうだ。
東方にはこんな時に使う良い言葉がある。曰く−…三十六計逃げるに如かず。
「姉さん窓を開けて、何を…まさか」
「ついて来なさいノエル!ちぇすとおぉ〜!」
「姉さんっ!」
当然のように、あたしは勢いよく飛び降りた!
「はっ!?」
「えっ!?」
しかし、華麗に飛び降りたはずが運悪く窓のサッシにすねを強打したあたしは、つんのめって真下にあった日よけの幕が張られているところにズボリと落ちてしまった。わああああ弁慶の泣き所がぁぁあぐぁあ〜!おまけになんだかこの感触、幕と共に下にいる生き物も巻き添えにしてしまったような・・・。
ような、ではない。日焼けして黄色くなった幕に包まれた誰かがあたしの下でもごもごと蠢いていた。
あたしは慌てて幕の波を手繰り寄せる。哀れなその人の腕が見えたから、掴んで引き起こす。
「わああ、本当にごめんなさいっ!わざとではないんですっ、わざとじゃ…。あの、ごめんなさい、本当に急いでいて、あの、お怪我は、ご、ざいま…」
声が止まった。
するりと幕が落ちて出てきた超絶不機嫌そうな顔は、黒い髪に黒い瞳を持つ、カルミナ族のアム、その人だった。
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