第6部 贖罪の炎宝石
第2章 カトレア
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が、ウルキオラは「このままでいい」と放った。
「それで、俺にどうしろと?」
「まずは、カトレアの病について話して頂戴」
エレオノールがそう答えると、ウルキオラは一つため息をついた。
「この女の病の原因は、多すぎる魔力による心不全だ」
「心不全?」
公爵が聞きなれない言葉に首を傾げた。
「そうだ。心臓の能力低下で起こる体の不健全な状態だ」
「し、心の臓だと……」
公爵はカトレアの病が命を司る臓器に及んでいたことを知り、驚愕する。
他の4人と周りの使用人も驚いた様子であった。
「魔力が多すぎる…というのはどういうことですか?」
公爵夫人はそんな衝撃的な事実を聞きながらも、冷静にウルキオラに質問した。
「そのままの意味だ。この女…カトレアは、常人のそれを遥かに超える魔力を体に有している」
「そ、それがちいねえさまの病とどう関係があるの?」
ルイズが尋ねる。
「お前たち貴族は、魔法を使用する際、精神力…まあ、俗にいう魔力を使うだろ?」
4人は言葉を発することなく同意する。
「なら、その魔力は普段体のどこにある?」
「どういうことですか?」
皆、ウルキオラが何を言っているのか理解できなかった。
一人を除いては……。
「血液中……」
エレオノールは小さく呟いた。
「アカデミーの研究で、魔力は血液中に存在し、身体の中を巡っていることがわかったわ」
「その通りだ、人間…まあ、俺もだが、血液は生命活動をする上で非常に重要なものだ。だが、その血液中に常人よりも圧倒的に多い魔力が存在したらどうなる?」
ウルキオラの問いに、公爵夫人が答えた。
「血液中に含まれる、本来の成分が身体に巡りませんわね」
「そうだ。つまり、多くの魔力を持っているが故に、血液中に本来あるべき成分が充足していないために、心臓の働きが弱くなり、心不全になっているということだ」
ウルキオラの言葉を聞いていたカトレアが、口を開いた。
「確かに、魔法を使用したときは、いつも以上に身体がだるかったり、頭痛が起きますわ。それに、痛みを生じるのは決まって左胸…」
それを聞いて、エレオノール、ルイズ、公爵、公爵夫人は言葉が出なかった。
「だろうな」
ウルキオラのそういって、踵を返して歩き出した。
「どこへ行く?」
公爵が制止する。
「用は済んだろう?戻らせてもらう」
「お待ちなさい」
公爵夫人がそう言って、立ち上がった。
「まだ何かあるのか?」
ウルキオラは顔だけを公爵夫人へと向けた。
「カトレアの病は、治りますか?」
「自然治癒は見込めないだろうな。それに、原因が多すぎる魔力
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