第6部 贖罪の炎宝石
第2章 カトレア
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へと変貌した。
「今……なんと言った?」
公爵は、驚きのあまり片言になりながらエレオノールに尋ねた。
「病を言い当てたのです。正確には、『珍しい病だな』と発しましたわ」
使用人たちも驚愕を隠し切れない。
当たり前である。
今まで数多の医師に診察を依頼した。
しかし、その病を見抜くことはできなかった。
それが、ここにきて、ルイズが呼び出した使い魔が診察もせずに見ただけで病を見抜いたとなれば、驚くのも無理はない。
「して、カトレアの病は一体何なのです?」
公爵夫人は冷静を装い、エレオノールに尋ねたが、少し焦りが見えていた。
「それが、まだ詳しいことは聞いておりません。父様と母様がいらっしゃる場にて、と思いまして……」
エレオノールがすべての言葉を発する前に、公爵が口を開いた。
「その使い魔、今はどこにおるのだ?」
「召使の控室にて待機しております」
有無も言わずに公爵が言葉を発する。
「今すぐこの場に呼んで参れ!」
その言葉を聞いた使用人の一人が、バンッと激しくダイニングルームの扉を開いた。
さて、ウルキオラは非常に不愉快であった。
控室の近くに控えていたメイドに、紅茶を頼み、さて、今から飲もうとした矢先に、使用人らしき人物に、今すぐダイニングルームへ来いと言われたからだ。
しかたなく紅茶の入ったカップを置き、控室を後にする。
召使の控室と、ダイニングルームはさほど遠くないため、すぐに着いた。
使用人が扉を開け、中に入るように促す。
促されるまま中に入ると、中にいたすべての者に視線を向けられた。
「何の用だ?」
ウルキオラは冷徹に答えた。
その声には、畏怖を感じさせるものがあった。
「お主がルイズの使い魔か?」
落ち着きを取り戻した公爵がウルキオラに尋ねた。
「そうだ」
ウルキオラはそういって、5人の座るテーブルへと近づいた。
「あなたのことはエレオノールから聞きましたわ」
公爵夫人がウルキオラの動向を観察しながら言った。
「そうか。それで、なぜ俺を呼び出した?」
ウルキオラのなんの敬意のない言葉に、エレオノールが口を挟もうとしたが、公爵夫人が止めるように口を開いた。
「彼は人間ではないのでしょう?ならば、貴族に対して敬意を表さないのは当たり前」
「なるほど。よくわかっているな」
「あなたをここへ呼んだのは、カトレアの病についてです」
公爵夫人がそう答えると、ウルキオラは「なるほど」と言って、視線をカトレアに移した。
そんなウルキオラを見て、カトレアは微笑した。
「とりあえず座りなさい」
公爵が座るように促す
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