第6部 贖罪の炎宝石
第2章 カトレア
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らしていた。
「お座りなさい」とラ・ヴァリエール公爵夫人が言った。
歳の頃は公爵と同様50過ぎ。
しかし、見た目には40ほどに見える。
目つきは鋭く、炯炯とした光を湛えている。
カトレアとルイズの桃色がかったブロンドは、どうやら母親譲りのようである。
公爵夫人はあでやかな桃色の髪を頭の上でまとめていた。
人をずっと傅かせてきたものだけが纏うことのできるオーラであった。
三姉妹がテーブルに着くと、給仕たちが前菜を運んできて、晩餐会が始まった。
ルイズにとっては、息が詰まりそうになる時間であった。
なにせ、誰も言葉を発しないのである。
いつものことであるが、今のルイズの立場上、非常に居づらい空間であった。
しかし、そんな沈黙をエレオノールが破った。
「父様、母様、大事なお話があります」
公爵と公爵夫人は、エレオノールからその言葉が発せられたことに少し驚いた。
「なんだ?エレオノール」
公爵が答える。
「ルイズの使い魔の件です」
その言葉に、カトレアとルイズはエレオノールが何を言わんとしているのか察した。
どうやら、ルイズの戦争参加の件よりも重要だと判断したようであった。
「ルイズの手紙に書かれていた、『強き使い魔』のことですか?」
公爵夫人が口を開いた。
「そうです。どうやら、あながち間違いじゃないみたいです」
その言葉を聞いて、公爵と公爵夫人は手を止めた。
「どういうことだ?」
「竜か何かですか?」
公爵と公爵夫人はルイズに向けて発した。
「あ、あの……じ、じつは…」
ルイズは久しぶりに会う母親と父親に緊張のしていた。
ルイズが心を許しているのは、カトレアだけであるらしい。
そんなルイズの姿に、エレオノールは呆れたように言った。
「私から説明いたしますわ」
エレオノールは、途中の旅籠でウルキオラに見せてもらった映像を事細かに話した。
エレオノールの話が終わると、まずは公爵が口を開いた。
「なるほど。確かに、虚などという種族は聞いたこともないな」
公爵夫人が次いだ。
「化け物から人の形に進化するなど、信じがたいわね」
本来なら、こんな話を信じる二人ではないが、あのエレオノールがここまで真剣に話している様子をみると、嘘ではないように思えた。
「それと、もう一つ申し上げたいことが……」
エレオノールは少し間を置いた。
「なんですか?」
公爵夫人がそんなエレオノールの様子を見て尋ねた。
「実はその使い魔……カトレアを一目見ただけで、カトレアの病を言い当てたのです」
その瞬間、ダイニングルームは驚きの部屋
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