第6部 贖罪の炎宝石
第2章 カトレア
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」
カトレアはそんなエレオノールを見て小さく笑った。
「でも、もう屋敷に向かわないと…。それに、カトレアの病については、父さまと母さまにも聞いて頂かないと……、ウルキオラ…と言ったかしら?」
「ほう?よくもまあこんな短時間で覚えたものだ」
ウルキオラは皮肉っぽく言い放った。
エレオノールは腹の中から込みあがってくるものをぐっと抑えた。
「もう一度、機会を作るわ。その時に話して頂戴」
「なぜ俺がお前なんぞに……」
ウルキオラの言葉がそこで止まる。
ルイズに服を引っ張られたからだ。
そこには、ウルキオラを睨むルイズの姿があった。
ウルキオラはため息をついた後、「好きにしろ」といって旅籠のドアを押し開いた。
その後、ルイズにエレオノール、そしてウルキオラとシエスタは、カトレアが乗ってきた大きなワゴンタイプの馬車で、屋敷へと向かうことになった。
しばらくすると、夜も更け、辺りは徐々に暗くなってゆく。
エレオノールが、ポケットから懐中時計を取り出して、時間を確かめる。
丘の向こうにお城が見えてきた。
周りに何もないので、トリステインの宮殿より大きく見えた。
「あれか?」とウルキオラが呟いたら、ルイズが頷く。
普通に、お城、であった。
高い城壁の周りには深い堀が彫られている。
城壁の向こうに高い尖塔がいくつも見えた。
立派で、大きくて、重厚で、まさにお城!といった風情の建物である。
眠っていたシエスタが、目を覚まし、お城に気づいて目を丸くした。
「まあ!すごい!」
その瞬間大きなフクロウが、ばっさばっさと窓から飛び込んできて、シエスタの頭に止まった。
フクロウが「おかえりなさいませ。エレオノール様、カトレア様、ルイズ様」と優雅に一礼した。
「フ、フ、フクロウが喋ってお辞儀!おーじーぎー!」とシエスタは驚いて、また気絶した。
よく気絶する女だな、とウルキオラは思った。
カトレアが笑みを浮かべた。
「トゥルーカス、母様は?」
「奥様は、晩餐の席で皆様をお待ちでございます」
「父様は?」
不安げな声で、ルイズが答えた。
「旦那様もお待ちです」
その言葉を聞いて、ルイズは複雑な気持ちになった。
ついにこの時がやってきてしまったのである。
堀の向こうに門が見えた。
馬車が停止すると、巨大な門柱の両脇に控えたこれまた巨大な石像が、跳ね橋に取り付けられた鎖を下すと音がじゃらじゃらと聞こえてくる。
身長20メイルはあろうかという巨大な石像……、門専用のゴーレムなのだろう、が、跳ね橋をおろす様は壮観であった。
どすん!と跳ね橋が降りきると、再び馬
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