シリルなら・・・
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ケイル》に入る前の記憶を出せばいいと思った俺は、妖精の尻尾解散直後の、化猫の宿での話をしようと考えた。
「あの日で一番衝撃受けたことって覚えてる?」
あの日、あの場所に行って思い出を探していた時に、とてつもなく衝撃を与えたことがあった。おそらくウェンディにも深く刻み込まれているはずだ。
「うん!!覚えてる!!」
大きくうなずく少女を見て、少しだけ笑みが溢れた。彼女も俺と同じくショックを受けたことだから、より鮮明に覚えているはずだ。
「たぶん同じこと考えてるだろうから、せーので言おっ!!」
「うん!!行くよ!!」
俺たちは幼い頃から一緒にいるから、互いのこともよくわかっているはず。ここで一致した回答を言えれば、それは俺がシリルである証明になると思うんだ。
「「せーの!!」」
「背が伸びてなかった!!」
「シェリアがギルドに誘ってくれた!!」
「「・・・え?」」
まさかの不一致に互いの口がポカンと開いたまま固まってしまう。いや、シェリアたちが誘いに来てくれたことはもちろん覚えてるよ?でも、衝撃的と言ったら一年近く経ったのに背が伸びてなかったことだと思うんだ?だってこんなにいっぱい食べたり寝たりしてたのに、全く成長してないなんて印象に残るじゃん?それにこれは俺たちしか知らないことだから、絶対に信頼を得られると思ってたのに・・・
「え・・・もしかしてシリルじゃない?」
すると、意見が不一致だったからなのか、俺がシリルじゃないと勘違いをし始めたウェンディ。ってちょっと待て!!
「いやいやいやいや!!むしろこれを知ってる人なんか俺くらいしかいないでしょ!?」
厳密に言えばセシリーとシャルルも知ってるけど、二人はこの大会には参加していないので関係ない。そうなるとあの場にいたのは俺だけなのだから、必然的に俺が俺である証明になると思うんだけど・・・
「ウソです!!シリルがそんなこと大声で言うわけないもん!!」
「!!」
さっきまでさんざん悩んでいた俺の心を読み切っていた天空の巫女は、まさしくその通りのことを述べてくるので反撃ができない。クソッ・・・こんなことなら最初の意志を押し通して、もっと別のことを言うべきだったか・・・
「残念だったね、カグラさん」
一部始終を見ていたリオンさんは、勝利を確信したような笑みを浮かべており、ちょっとイラっとした。
でも、今はそんな感情に流されている場面じゃない!!このままだとウェンディがリオンさんの方に飛んでしまいかねない。そうならないようにするには・・・
「ウェンディ!!」
「は・・・はい!!」
リオンさんがいる方向へと体が向きつつあった彼女の名前を叫ぶ。俺をカグラさんだと思っ
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