第18夜 喪失
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改めて教育し直しても暴走するならもう使わない。それだけだ。君にはもう関係のない話だから考えなくともいいぞ」
冷たく突き放すようで、本当は何も感情がこもっていない空っぽの言葉が俺の頭に響いた。
暴走――暴走とは何のことだろうかと思い、はっとする。彼女が俺の命を助けるために行ったのであろう疾走のことを言っているのだろう。確かにあれのおかげで砦にたどり着いた頃には俺は疲労でぼろぼろだった。
しかし、道中のギルティーネは細かい部分は別としてしっかり人のいうことを聞いていた。鎧の呪獣の際も彼女は完全に言われた通りに役割を全うしたのに、その決断は早計に過ぎるのではないか。
あんな暗い場所で髪の手入れもできずに閉じ込められていた女の子にその判断は、あまりに酷すぎる。俺は思わずその言葉に反論しようとした。
「で、でもあれは俺を助けるために仕方なくやったことでしょう。暴走とは――」
「仕方なくだろうと何だろうと、自分の主を息絶え絶えにさせるような行動を取っている時点で安定性が低いとみなすのは自然なことだ。3度目の正直となるかと思ったが、潰しても潰しても人間という生き物は問題が出てくるな。まるで欠陥品の集合体だ」
「……チームプレーも果たしていました。欠陥と断言するには早計でしょう!」
「君たちと直前まで高度を共にしていた3人一組のチームは1名死亡、1名行方不明だ。君の命の確保を優先するあまり周囲に無駄な被害を振りまいた可能性も否めない。それほどデリケートな行動をお求められていないがらこなせなかったというのが事実ではないかね?何を憤っているのか知らないが、声を荒げる必要はないな」
(こいつ………つらつらと、人を道具みたいに……)
心の奥から熱がこみ上げるのを抑え、俺は唐突にこの男との会話に腹が立つ原因を理解した。
この男は、俺の話を聞いているが理解していない。
俺がギルティーネを庇うようなことを言っているというニュアンスを理解せず、ただ言葉として耳に届いた情報に自分の言葉をすり合わせて会話を形式ばったものにしているだけだ。彼にとって俺の意見はどうでもよく、ただ問われたことを機械的に返しているだけだ。恐らく、そういった『欠落』なのだろう。
視界は開けているのに、意識だけが肉体から離れるかのように遠ざかる。
俺の戦いは、ギルティーネの戦いでもあった筈だ。俺が試験をどう潜り抜けるかは彼女にかかっていて、俺が彼女をうまく使いこなせなければ彼女に未来はない。そんな状態で、俺は最後の最後に間違ったのだろうか。彼女を牢屋に戻すまいと思ったはずなのに、叶わなかったのだろうか。
脳裏によぎる、あの人がいてはいけないほどに暗い牢屋。鉄仮面と拘束衣は見ているだけで息苦しくなるほどに窮屈で、まるで女であることを無理や
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