第二十六話 命綱
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第五章――
沖ノ島攻略に成功したヤマトは、横須賀から沖ノ島に司令部を進出させ、ここを太平洋上の前線司令部とした。ヤマト海軍は、いよいよ深海棲艦との本格的な戦闘に突入することとなる。広大な太平洋は深海棲艦に制圧されて以来、ヤマトが足を踏み入れたことのない未知の海域だった。
だが――。
その矢先、横須賀鎮守府奇襲により、作戦遂行に必要な物資が消失してしまう。窮地に立たされたヤマト海軍軍令部は赤城の提案で、逆転の一戦を企図する。ヤマトとノース・ステイトとの中間であるミッドウェー諸島を一気に攻略し、ノース・ステイトへの足掛かりを作り上げようというのだ。ここに、ヤマトは新たな作戦に全軍を投入することとなる。それは、前世でなしえなかったミッドウェー攻略作戦だった。
執務室にて、提督のモノローグ――
ショックで顔から血の気が引いていたが、もうだいぶ良くなってきた。やっぱりこういうのは体にはよくないよな。
横須賀がやられたらしい。
極低周波通信で、そう葵の奴が伝えてきた。艦娘や軍令部に死者は出なかったが、何人も負傷しておまけに集積していた物資も半数が消失してしまったそうだ。まいったな、せっかく反転攻勢が本格的になったと思った矢先、このザマだ。
しかし、一鎮守府の提督にすぎない俺にはどうしようもできない。物資を支援しようにも、そもそも呉鎮守府もカツカツの状態だからな。まぁ、それは先方様も承知しているらしく、要求は来なかった。
物資の欠乏は戦いに大きな影響を与える。腹が減っては戦ができないって言葉があるが、まさにその通りだ。艦娘たちの言う「前世」でもそうだったらしい。今のヤマトも前世の大日本帝国とやらと同じようになっちまったってことだ。
大陸からの補給も南西諸島奪還作戦でまぁ何とかなってきているが、それだって劇的に増えたわけじゃない。またヤマトは資源が乏しいから燃料弾薬を精製することは自力ではほぼ無理だ。
外国でも自国でも手の打ちようがない。まさに進退窮まったっていうやつだ。
だが・・・・。
実を言うと、俺には当てがないわけではない。というのはヤマトが深海棲艦に制圧されつつあったとき、一少佐だった当時の俺は輸送船団を指揮してある場所に物資を隠匿したんだ。これは軍令部の中でもごく少数の者しかしらないことだったし、指示があるまでは動かすなと言われている。だが、当時の軍令部の首脳陣は今はことごとく交代・戦死していなくなっちまっている。引継ぎがあったかどうか知らないが、この状況になっても連絡がこないってことは多分知らないんだろう。
さて、どうするか。このことは葵の奴も知らない。俺の独断でやってもいいんだけれど、そうすると後々が面倒くさいし、第一横須賀まで輸送しなくちゃならない。とても航空機で運べる量じゃないからな
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