第二十六話 命綱
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を横須賀に向けて搬出するように指示を受けていました。もっともこれは条件付きで、もし横須賀が壊滅してしまったら、すべてを呉鎮守府の提督にゆだねることとなっていました。」
皆が葛城の言葉に聞き入っている。
「わたしたちは最新の低周波無線で今回のことを聞いて・・・。それで私が呉鎮守府に行くことになったんです。でも・・・・敵に見つかってしまって・・・・・。」
「まずいわね。」
鳳翔が一人つぶやいた隣で日向もうなずく。
「あぁ、まずいことになった。敵は我々のことを良く知っているが、葛城のことは知らない。我々なら哨戒任務だろうくらいに敵は思うかもしれないが、未確認艦娘の葛城はどうしても敵にクローズアップされてしまう。まして、発見された地点が物資集積島に近ければ、何かそこにあるのだろうと勘ぐられても仕方がないかもしれない。」
「ね、いい考えがあるわ。いっそ横須賀に連絡して大艦隊を派遣してもらって、引き取ってもらったら?」
伊勢の提案を日向は苦い顔で聞いていたが、すぐに反論した。
「無理だ。もともと横須賀は外海と接する玄関口でそれだけ敵の襲来が多い。この間のことはその顕著な例だ。しかもその襲来のダメージが完治していないし、さらなる敵の襲来があるかもしれない。こちらまで航海する燃料があるかどうかもわからないんだ。平時ならともかく、今横須賀にはとてもこちらまで艦隊を回せる余裕などない。」
「じゃあ基地航空隊に頼んで輸送してもらうのは――。」
「それは無理です。物資と言っても結構な量ですし、それを空輸するとなると近くの基地航空隊をかき集めても足りません。」
と、葛城。
「だからって――。」
「わかっている。その『だから』をどう具体的に処理していいかどうか、私も悩んでいるんだから。」
日向は腕を組んだ。にわかに室内は重苦しい空気に包まれていく。誰もがこの状況をどう処理していいか考えあぐねていたのだ。
チチチ、と鳥たちが窓をかすめて飛び去っていくのが見えた。
「ね、私たちが物資を横須賀に運んでいくのってどうですか?」
不意に雷が叫んだ。
「ええっ!?」
皆が一斉に雷を見た。
「だって・・・ここにこうしていてもいつかは敵に発見されちゃうし・・・・・それだったらすぐに横須賀に運んじゃえばいいと思ったんだもの。敵が仕掛けてくる前に。」
「それはそうだけれど・・・・でもリスクが高いんだよ。」
と、伊勢。
「護衛艦隊も手配しなくてはならないし、何より問題の物資がいったい何でどれだけ集積されているか、それすら我々は知らないのだ。」
「約13万トン。」
葛城が即答した。
「3万トンの燃料、4万トンの弾薬、高速修復剤その他備蓄嗜好品が2万トン、そしてボーキサイトが2万トン、改修修理用の鋼材が2万トンです。」
一同は目を見張った。日頃「物資
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