第二十六話 命綱
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顔つきになった。
「でも、あなたはどこにいたのですか?どの鎮守府でもあなたの姿を見かけたことはなかったし、配属表にもあなたの名前はのっていなかったはず――。」
「あ、それは・・・その・・・・。」
葛城は一瞬うろたえた顔になったが、次の瞬間その表情は一変していた。
「実は・・・・助けていただきたいことがあるんです。」
「というと?」
迷っていた葛城はやがて意を決したらしく、鳳翔に顔を向けると語りだした。
「鳳翔さんも雲龍型航空母艦がそろって在籍していないことにきっと不思議に思われたと思います。でも、訳があるんです。雲龍型航空母艦である雲龍姉、天城姉、そして私葛城はずっとヤマトの特務艦として紀伊半島と四国の間のある島で訓練を受け続けていたんです。」
「訓練?」
「はい。それは、つい最近起こった横須賀鎮守府空襲に関係します。もっと正確に言えば、その際に消失した物資について、です。」
はっと鳳翔は第6駆逐隊と雪風を見た。
「あ〜心配しなくても、大丈夫です。」
雷が鳳翔を見上げていった。
「だって、私たち司令の部屋の前でそれを聞い――モガガガ!!」
「ちょっと雷!!」
暁と電が慌てて雷の口をふさいだが、もう遅かった。
「あ〜〜〜やっぱりさっき廊下にいたのあなたたちだったんだ。あきれたわね〜。これじゃ防諜なんてできないじゃん。」
鳳翔の傍らにいた伊勢はあきれ顔をし、日向はむっとした顔を第6駆逐隊に向けた。
「ご、ごめんなさい・・・。」
4人は顔を一様に赤くして謝った。
「仕方ありませんね。」
鳳翔は困ったような顔をした。
「まぁ、しょうがないよね。聞いてしまったことは仕方ないから。でも、これは秘密だからね!いい!?」
「は、はいっ!!」
暁たちはいつにない厳しい伊勢の顔色に直立不動の姿勢をとった。
「私もごめんなさい。もうそのことはみんな知っているとばかり・・・・。」
「謝らなくていいですよ。それで・・・・。」
鳳翔は少し考え込んでいたが、すぐに一人うなずいて話をつづけた。
「たぶんあなたの言おうとしている話、私はわかったような気がします。」
「えっ!?」
皆が一斉に鳳翔を見た。
「あなたたちはきっと提督若しくは軍令部に依頼されて、深海棲艦がヤマトの制海権を奪う直前に、物資の集積作業を行い、その某島に隠匿したのではないですか?そして艦隊訓練と称してそこにとどまっていた。でも、本当の目的は物資を近くで守り抜くためだった。もちろんその島そのものにいれば、物資の所在を敵に察知されてしまいますから、やや場所は離れたところにしたとは思います。」
葛城は目を見開いた。
「正解のようですね。」
「はい・・・・。私たちはもしもヤマトが窮地に立たされるようでしたら、ここ呉鎮守府の提督に急行して事の次第を放して、すぐに物資
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