第二十六話 命綱
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だが、いま物資を補給しなければ、せっかく傾きかけている勢いがまた戻ってしまう。そうなったら、もう駄目だろう。後は雪だるま式に奴らの侵攻を許し、今まで奪ってきたポイントもすべて奪い返されて、ゲームセットとなる。
どうする?俺はどうすればいいだろう?
「あれっ?」
伊勢は提督執務室に通じる廊下の曲がり角をまがったとたん、さっと隠れる影に目をやった。
「なんだろ?」
不思議に思いながらもそれが誰だかわからなかった。伊勢はちょっと首をひねってから、また歩き出した。
「あ。」
提督執務室から出てきた鳳翔を見つけて、伊勢は声をかけた。
「あぁ、伊勢さんでしたか。」
鳳翔はそう言ったが、顔に今までにない動揺の色がうかんでいる。
「どうしたんですか?なんだか浮かない顔だけど。」
鳳翔はあたりを用心深く見まわしてから、そっと伊勢に顔を寄せた。
「大きな声では言えないのですが、横須賀鎮守府が敵の攻撃を受けて壊滅したとのことです。」
「ええっ!?横須賀鎮――」
「し〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
鳳翔が慌てて伊勢の口を手で蓋した。
「モガガ・・・モゴゴ・・・!!モムム!!」
伊勢が苦しがってもがき始めたので、鳳翔は手を離した。
「・・・・・プハァ!!鳳翔さん、いきなりひどい!」
「ごめんなさい。でも、それを聞かれてしまうと、皆の士気にかかわりますから・・・・。」
「そ、そうだった。で、皆は?皆は大丈夫なの?」
「攻め寄せてきた深海棲艦との戦いで榛名さんが大けがをしましたが、命に別条はないそうです。そのほかの人たちも傷の程度は浅く、心配いらないと提督はおっしゃっていました。」
「そう・・。ふ〜〜〜よかった。」
伊勢はほ〜〜っと息を吐いた。
「ですが、横須賀鎮守府に集積されていた戦略物資が多大な被害を受けたそうです。燃料、弾薬、高速修復剤、ボーキサイト、鋼材等が。」
伊勢は息をのんだ。
「それって!ヤバくない!?この呉鎮守府だって、備蓄はそんなにないし、先日の戦いでの消耗だって馬鹿にならなかったし、むしろ横須賀鎮守府に援助してもらいたいところだったのになぁ・・・・。あ、日向。」
日向が廊下をこちらに足早に歩いてくるのが見えた。
「あ、伊勢か。それに鳳翔さんも。」
「どうしましたか?」
「実は少し問題が発生してな。提督に報告に赴くところだったのだ。」
「問題?」
それからしばらくして、呉鎮守府「間宮」にて――。
んぐっ、んぐっ、と喉を上下させる音が聞こえる。「燃料」と書かれた500ミリリットルサイズの缶を徐々に傾けられていく。一心に飲み切った彼女は盛大な息を吐いて、缶をテーブルに置いた。
「はぁ・・・プハァッ!!あ〜〜〜〜生き返った!!」
応対していた第6駆逐隊と不知火と雪風はその豪
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