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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
218部分:第二十九話 アフロディーテの闘志その五
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「私が行きましょう。また」
「えっ、アフロディーテ様」
「今度ばかりは我々が」
 彼等は黄金聖衣を着たアフロディーテを見て言う。流石に今度ばかりは彼等も闘わなくては申し訳がないと思ったのである。
「ですからお気遣いなく」
「どうか」
「いえ、そういうわけにはいきません」
 しかし彼はこう言って彼等の言葉を退けるのだった。右手に薔薇を持ち。
「ここは是非闘わせてもらいます」
「是非ですか」
「はい、是非共」
 あくまでこう言うのだった。
「私にやらせてもらいます」
「そうですか。それでは」
「そこまで仰るのなら」
 彼等も黄金聖闘士がそこまで言うのなら従うしかなかった。黄金聖闘士の言葉は聖域においては教皇のそれに次ぐものであるからだ。
「我等はこれで」
「アフロディーテ様、どうぞ」
「はい。それでは」
 アフロディーテは悠然と立っていた。その彼を囲むようにしてインプ達は剣呑な笑みを浮かべてきていた。
「ピスケスか。先のことは知っているからな」
「そうだ。仲間達の仇」
 その剣呑な顔で言ってきた。
「ここで取らせてもらう」
「覚悟はいいな」
「覚悟ですか」
 アフロディーテは彼等の言葉を聞きながら静かにその言葉を出してきた。
「確かに覚悟はできています」
「とはいっても死ぬ覚悟ではないな」
「違うか?」
「如何にも」
 それではない、最早インプ達にもわかっていることだった。
「それは有り得ません。私にある覚悟とは」
「何だ?それは」
「言ったところで貴様を倒すことには変わりはないがな」
「戦う覚悟」
 彼の言う覚悟とはそれであったのだ。
「それはできています」
「やはりな。ならばだ」
「その覚悟をそのままにして死ね」
 三叉の槍をそれぞれ手にしての言葉だった。
「何度も言うが仲間の仇」
「ここで取らせてもらおう」 
 またアフロディーテとインプ達の闘いがはじまろうとしていた。そうしてその中で彼等は舟の上でそれぞれ対峙し激しい小宇宙を見せていた。


第二十九話   完


                  2009・5・6

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