第十五話 衰える身体その四
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「だから気をつけるのだ」
「私もまた」
「あの娘が避けているのならだ」
「近寄るべきではないですか」
「無理にそうしてもだ」
それでもというのだ。
「かえって逆効果だ」
「そうですか」
「マイラの心はあまりにも頑なだ」
それ故にというのだ。
「だからだ」
「私がお声をかけてもですか」
「かえってよくない、だからだ」
「私は何もするべきではないですか」
「むしろ私がだ」
王がと言うのだった、ここで。
「そなたとマイラの間に立ってだ」
「そのうえで」
「話をさせたいが」
「そうして頂けるのですか」
「どの家もそうであるが」
この前置きからだ、王はマリーに話した。
「王家は特にだ」
「まとまっていなければならないですね」
「そうだ、分かれなぞしたらだ」
その中で、というのだ。
「これ以上悪いことはない」
「王家の者同士の衝突は、ですね」
「それは国にとってこれ以上はないまでの害をもたらす」
「だからこそ」
「私がそなた達の間に立ちだ」
「お話する場所を設けて下さいますか」
「そうも考えたがどうだ」
「お願い出来ますか」
王のその申し出を受けてだ、マリーはすぐに言葉を返した。それは王に対して心から願うものだった。
「その様に」
「わかった、ではな」
「はい、ご苦労をかけますが」
「王にその言葉はない」
「苦労は、ですか」
「そうだ、ない」
「常になのですね」
「国の為に全てを捧げなくてはならないのだからな」
それが義務だからというのだ、玉座に座る者の。
「それはないのだ」
「苦労というものは」
「当然なのだ」
それになるというのだ。
「国の不安の芽を摘み取ることはな」
「では」
「余からマイラに話し」
マリー、彼女と会う様にというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「二人で会うといい」
「それではその様に」
「ではな」
マリーに約束しそのうえでだった、王はマイラに対してマリーと会ってはどうかと勧めた。しかし王が言ってもだった。
マイラは首を縦に振らない、その状況を見てだった。
司教は深刻な顔になってだ、同志達に言った。彼等だけが集まりそのうえで。
「残念ですが」
「マイラ様は、ですね」
「マリー様とお会いにはなられませんね」
「今も尚」
「頑なに」
「特にです」
司教はさらに言った。
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