第十五話 衰える身体その三
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「それではだ」
「どちらを養うことも出来ないですか」
「信仰と学問は大事だ」
このことは王もわかっていた、マリーにしてもこの双方を備えている。特に学問は語学をはじめ各分野に通じている。
「しかしだ」
「それと共にですか」
「耳と目を養うことだ」
「そうなのですね」
「王にはどちらも必要だ」
「では」
「そなたはその二つが備わっていてこれからも養える」
それ故にというのだ。
「そなたは王になれる、王となってもだ」
「それからもですね」
「国を導ける」
それ故にというのだ。
「そなたに国を任せたい」
「そうなのですね」
「旧教であっても妾の子であっても」
マイラ、その彼女のことを想いだ、王は目を閉じ首を少し横に振ってそのうえでこうも言ったのだった。残念に思う顔になり。
「何だというのだ」
「私もそう思うのですが」
「あの娘はそれに因われ過ぎ」
そしてというのだ。
「今もだ」
「だからこそ心を閉ざされて」
「ああなってしまっている、これではだ」
「王にはですか」
「玉座に付こうとも」
それでもというのだ。
「いいことにはならない」
「この国にとって」
「あの娘にとってもだ」
マイラ自身にとってもというのだ。
「到底な」
「そうなりますか」
「どうしたものか」
「私は何とかです」
「あの娘と共にいたいな」
「お話をしたいのですが」
「マイラは誰よりもだ」
マリーを見て言うのだった。
「そなたを避けている」
「私をですか」
「妹であるそなたをだ」
まず、というのだ。
「第一にだ」
「避けておられるのですね」
「そうだ」
まさにというのだった、マリーに。
「誰よりもな」
「私が妹だからですか」
「血の絆は強い」
王はこのことも言った。
「確かにな、しかし」
「それでもですか」
「強いが故にだ」
「それが裏返れば」
「厄介なことになるのだ」
それ故にというのだ。
「あの娘はまずはだ」
「私を意識されて」
「避けているのだ」
そうしているとだ、マリーに話した。
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