第十五話 衰える身体その一
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第十五話 衰える身体
セーラ、マリアと別れたマリーは王宮に留まり続け国政にもあたっていた。二人の分までも王を支えようとしていた。
そして実際に助けになっていてだ、王はマリーに満足した声で言っていた。
「宰相、大臣達と共にだ」
「私は、ですか」
「余を助けてくれている」
マリーをあえて自分の下手に呼んで告げた言葉だ。
「実にな」
「そうであれば幸いです」
「常に正しきことを言ってくれる」
あらゆる政においてというのだ。
「そして余を止める時もある」
「出過ぎたことと思っていますが」
「いや、そうではない」
「それならいいのですが」
「謹言は受ける」
王は自ら言った。
「そしてそれを政に活かすべきなのだ」
「それもまた王の務めですか」
「まさにな、それが出来ないとだ」
「王たりえないのですね」
「謹言を聞かぬことは己の首を絞めることだ」
こうまで言うのだった。
「無論讒言や迷妄な言葉は聞くべきではないが」
「そうしたものを聞き分ける」
「それもまた必要なのだ」
王にはというのだ。
「だからだ」
「私の言葉は、ですか」
「謹言も含めてだ」
例えどうしたものであろうとも、というのだ。
「聞いているのだ」
「そうなのですね」
「そしてそれはだ」
「それはといいますと」
「そなたにもそうなって欲しい」
マリーを見ての言葉だった、彼女のその目を。
「是非な」
「といいますと」
「私には男子がいない」
遂に授からなかったというのだ。
「そしてマリアも嫁いだ、嫁いだばかりで子もない」
「だからですか」
「若し私に何かあればだ」
その時はというのだ。
「そなたに任せたいのだ」
「この国を」
「都合のいいことに今現在そなたが第一位だ」
王位継承権、それがというのだ。
「ならばな」
「私が、ですか」
「余の次の王だ、女王だ」
それになるというのだ。
「そなたならばこの国を任せられる」
「左様ですか」
「そなたは最初から出来ているが今以上にだ」
「謹言を聞き」
「己を正しつつな」
「政をしていくのだ」
即ち国の舵取りをというのだ。
「わかったな」
「それでは」
「そして謹言を聞くと共にだ」
「讒言や甘言は、ですね」
「聞かないことだ、謹言は耳に厳しいが」
「良薬ですね」
「だからこそ聞くべきだ、だが中には謹言に聞こえるがだ」
それでもというのだ。
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