第七十話 霜の巨人族の王
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ちはだかっていた。
この扉の奥が、《霜の巨人王スリィム》の玉座の間だろう。
扉は、俺たちが五メートル内に踏み込んだ途端、自動的に左右に開き、奥から冷気の風が吹き寄せてくる。
キリト「アスナ、シンタロー、頼む。」
アスナ「うん。」
シンタロー「りょーかい。」
俺の問いに頷いたアスナとシンタローは、全員に支援魔法を張り直し始めると、先程パーティーに加わったフレイヤもとい、トールがそれに参加し、全員のHPを大幅ブーストするという未知の魔法を掛けてくれた。
全員で頷き交わし、ボス部屋に一気に駆け込む。
内部は、横方向にも縦方向にも、途轍もなく巨大な空間になっていた。
壁や床は、これまでと同じ青い氷。 同じく氷の燭台に、青紫色の炎が不気味に揺れ、遥か高い天井にも同色のシャンデリアが並ぶ。 しかし俺たちの眼を真っ先に奪ったのは、左右から奥へと連なる、無数の眩い反射光だった。
黄金。 その中には剣、鎧、盾、彫像から家具まで、ありとあらゆる種類の黄金製オブジェクトが、無数に積み重なっている。
アヤノ「う〜、眼がちかちかする。」
アスナ「凄い数の財宝ね」
フィリア「わー、全部欲しい。」
リズ「総額、何ユルドだろ、」
その時広間の奥の暗がりから、地面が震えるような重低声が聞こえてきた。
???「小虫が飛んでおる。」
地響きをたてながら、此方に近づいて来るのは、巨大な影だ。
その影は、通常の邪神や、この城で戦ってきたボス邪神の倍を優に超える大きさであり、脚は巨木のように太く、肌の色は鉛のような鈍い青。
両腕両足には、巨大な獣から剥いだ黒褐色の毛皮を巻き、腰回りには小舟ほどの板金鎧。
上半身は裸で筋骨隆々であり、胸には青い髭が垂れ、額に乗る黄金の冠と、瞳は寒々とした青。
いままで戦ってきたボスの中でも、最大級の大きさだ。
スリュム「ふっ、ふっ、アルヴヘイムの羽虫どもが、ウルズに唆そそのかされてこんな所まで潜り込んだか。 どうだ、いと小さき者どもよ。 あの女の居所を教えれば、この部屋の黄金を持てるだけくれてやるぞ、ンンー?」
今の台詞からして、コイツこそが《霜の巨人王スリュム》であるのは最早間違いなかった。
大巨人に向かって、真っ先に言葉を返したのはクラインと俺だ。
クライン「へっ、武士は食わねど高笑いってなァ! オレ様がそんな安っぽい誘いにホイホイ引っかかって堪るかよォ!」
キリト「お前を倒して、ヨツンヘイムを元に戻す!」
言葉が終わると同時に、全員が武器を抜き放ち、構える。
奴は、俺たちを遥か高みから睨め付けた後、先程パーティに加わったフレイヤに眼を向けた。
スリュム「ほう、ほう。 そこにおるのはフレイヤ殿ではないか。 檻
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