第六十九話 地下世界へ
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アスナ「あれは、どうなってるの? あの人型邪神を、誰かがテイムしたの?」
シリカ「そんな、有り得ません。 邪神級モンスターのテイム成功率は、最大スキル値に専用装備でブーストしても不可能です!」
クライン「あれは、なんつぅか、便乗してるようにしか見えねぇぜ。 人型邪神が像水母邪神を攻撃している所に乗っかって、追い打ちを掛けているみてぇな。」
キリト「でも、そんなに都合良く憎悪値ヘイトを管理できるか?」
と、俺が冷静にコメントする。
邪神の行動パターンからして、接近して魔法スキルなどを連発すれば、人型邪神のターゲットはプレイヤー側に移動してもいいはずだ。
しかも大規模レイドパーティーの幾つかが、人型邪神と行動しているのが窺える。ということは、
キリト「もしかして、さっき上でアスナが言っていた、ヨツンヘイムで新しく見つかった虐殺スロータ系クエストじゃないか? 《聖剣エクスキャリバー》を入手するには、人型邪神と協力して、動物型邪神を殲滅する、みたいな。」
俺が呟くと、それを聞いていた六人が揃って息を吸い込む。
恐らく、それに間違えない。 クエスト進行中なら、特定のモンスターと共闘状態になることがままあるのだ。
そこで俺は妙な気配を感じ、後ろを振り向いた。
俺に釣られて他のメンバーも後ろを振り向く。
トンキーの背中の一番後ろ、誰も座っていないあたりに光の粒が音も無く漂い、凝縮し、一つの人影を作り出したのだ。
ローブ風の長い衣装、背中から足許まで流れる波打つ金髪、三メートルを超える背丈、優雅かつ超然とした美貌の女性だった。
ウルズ「私は、《湖の女王》ウルズ。」
金髪のお姉さんは、続けて俺たちに呼びかけた。
ウルズ「我らが眷属と絆を結びし妖精たちよ。 そなたらに、私と二人の妹から一つの請願があります。 どうかこの国を、《霜の巨人族》の攻撃から救って欲しい。」
ユイ「パパ、あれ人はNPCです。 でも、少し妙です。 通常のNPCのように、固定応答ルーチンによって喋っていません。 コアプログラムに近い言語エンジン・モジュールに接続しています。」
キリト「つまり、AI化されているってことか?」
ユイ「流石パパです。」
俺は彼女の言葉に耳を傾けた。
NPC――《湖の女王ウルズ》は、真珠色に煌く右手を広大な地下世界に向けると、言った。
ウルズ「かつてこの《ヨツンヘイム》は、そのたたちの《アルヴヘイム》と同じように、世界樹イグドラシルの恩寵を受け、美しい水と緑に覆われていました。 我々《丘の巨人族》とその眷属たる獣たちが、穏やかに暮らしていたのです。」
その言葉と同時に、周囲の雪と氷に覆われたフィールドの光景が、音もなく揺れ、薄れる。
二重写しのよう
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