第51話 逆転
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
巨大な木遁の大仏に床に叩きつけられて、抑えられているサソリは怯むことなく、冷静に戦局を分析し沸騰しそうな感情を瞳に宿し睨み付けていた。
「貴様ら......」
巴が繋がり合い、外縁に向けて真っ直ぐに伸ばされた幾何学模様の内に押し留めて、好機を狙う。
「そいつらに手を出すのは許さん......」
不意に出た言葉だった。
サソリも言おうと判断した言葉でなく、湧き上がる激情を口に出しただけに近い。
理屈ではなく、短気でもない。
サソリが人間としての純粋なる感情......ソレだった。
ゾクッ!
黒ゼツ麦野が木山の首を掴み上げながら、戦慄した。
一歩退く。
コ、コイツ......
黒ゼツに身体を乗っ取られた麦野の目元が一瞬だけ痙攣のような動きをした。
「ああああ.....ああ.....」
床を這いずることしか出来なくなったミサカを一瞥もせずにトビフレンダが大仏の力を上げて、サソリを叩き潰しに掛かる。
「ぐ......うう」
写輪眼を抉り出そうと手を伸ばしている黒ゼツの動きに抵抗出来ずにもがいていると
『いかんの』
突如としてサソリの脳裏に響いてきた。
「!!?」
サソリが可能な限り首を巡らして、辺りを見渡して声の出処を探すが明らかな男性声を発している人物が見当たらなかった。
「?往生際ノ悪イ奴ダ」
どうやら、この声はサソリにしか聴こえていないようである。
混乱するサソリの頭に謎の声は相も変わらずサソリに響き続けている。
『独りで突っ走るから、こういう事になるぞよ』
「あ、アンタは?」
『心で考えれば通じるぞ。そういう所が我が友に似ておるがな』
「......」
『時間が無いが少しだけ耳を傾けて欲しいぞ......あと少しでお主にとって大切な者が助けに来る。辛抱ぞ』
オレにとって大切な?
『そうぞ。オレの特別なチャクラも既に渡しておる.......お主は独りじゃないだろ、少しは頼れぞ』
黒ゼツ麦野がサソリの写輪眼を抉り取ろうとした時、入り口から吹き込んできた吹雪により、腕を引っ込めた。
「!?」
吹雪により張られた氷の上を佐天が滑り込みながら、黒ゼツ麦野の腕にローリングソバットをかます。
「てやー」
掴んでいた手が緩むのを感じた木山は、両腕に力の半分を入れて身体を安定させると、黒ゼツの脇腹を蹴り入れて、無理やり拘束を外した。
「!!」
「かはっ......はあはあ、卑怯な......手段を使って......」
よろめいたまま、硬直したかのように不自然の体勢で黄色く光る眼で佐天を睨み付けた。
「ありゃー、たかが小娘の蹴りにだらしないっすね」
「......」
黒ゼツは、ビシビシと痺れを出している腕を眺めている。
アノ娘......マサカ....
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ