第6章 流されて異界
第151話 誓約
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物となって行っているはず。
同じミスを同じタイミングで行うのはバカだ。何らかの特殊な力が作用して……。例えば、因果律を操作されるなどして、意図的に指輪内の記憶が封印されている可能性もあるとは思うが、クトゥルフの邪神と雖も万能ではない。地球産の神々だって無能ではないはずだ。
僅かに首を動かす……と言うか、ほぼ視線のみを上下させ、肯定の意を示す有希。多分なのだが、前世で二〇〇二年の十二月に現代社会に召喚されたらしき記憶は確かに存在する。しかし、彼女の元に帰って来ると明確に約束した記憶はない。
少なくとも、誓約に近い形で交わした約束は存在しなかった。
今回の生は召喚自体が事故に近い形で始まったり、その際に俺が大怪我を負っていたりしたので、それまでの前世と比べると事態が複雑で、それまでの人生以上にハルケギニア世界の危険度が有希に伝わり易かったのでしょう。
何にしても誓約は交わされた。彼女の元に帰る為に行動する事で、俺はこれまで以上の能力を振るう事が出来るようになり、彼女は俺が彼女の元に帰る事によって、自らが得た感情の答えを見つけ出す事が出来るようになる。
そして、誓約が果たされなければ、また似たような時間が繰り返される事となる。
離れようと思えば何時でも離れられるのに、未だ左腕に上半身を。そして、太ももの上に横向きに座り続ける彼女から視線を外し、上空を仰ぎ見る俺。其処には晴れ渡った……雲ひとつない、仲冬の夜が存在した。
そう、忌々しいほどに翳りひとつ存在しない、聖夜に相応しい夜空が。
彼女が離れない理由は……半分は意趣返しだと思う。少しの我が儘。そりゃ、ここに彼女が現われてからコッチ、彼女の提案をずっと否定し続けて来たのだから、これは仕方がない。
そしてもう半分はもっと分かり易い。単純に離れたくないだけだ。
そう考えた瞬間――
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