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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第151話 誓約
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いるはずはない。
 おそらく、俺の魂は直ぐに解放され輪廻へと還されたのでしょう。その記憶の部分を彼女の手に残して。
 そして、その残された記憶が有希、もしくは彼女の師である玄辰水星の手に因ってアンドバリの指輪と言う魔法のアイテムへと変えられ、ハルケギニアへと転生した長門有希から、同じように転生を果たした俺に預けられた。

 結局、俺がここで行ったのは、このまま俺がハルケギニアに帰った後に、前世と同じように聖戦に参加。結果、志半ばで死した場合、彼女がハルケギニアに転生する道を選ぶ覚悟を決めさせただけ。

 成るほど。未来を変えなければ、この流れを変える事は難しい。……そう言う事か。
 小さくため息を吐き出しながら、そう考える俺。今の処、蘇えっている記憶から言わせて貰うのなら、前世ではこの東北地方への旅行すら発生していないと思うので、少しずつだが歴史は変わっていると思う。
 確かに、徐々に遭遇する事件の難易度は上がっているが、それは正解……。すべてを終わらせて、その結果、このループする人生を終わらせる事が可能な道に近付いている可能性もある、と言う事だってある。

 眉根を寄せ、ハルケギニアに帰ってからの困難な未来に頭を悩ませる俺。結局、有希の未来――自分の後を追ってハルケギニア世界へと転生して来る未来を書き換える事によって、今の自分の心が感じて居る重さから解放されようとした小細工は、藪を突いて蛇を出す……と言う無様な結果に。
 確かにそのこと自体が迷惑ではない。むしろ面映ゆいと言って良い状態なのだが、彼女の未来の可能性をひとつにして仕舞うのは問題がある。……と言うのは俺の考えであって、それを押し付けるのは矢張り無理があった、と言う事なのでしょう。
 彼女には彼女の目的がある。そして、彼女が自分で考えて行動する事を推奨したのは他ならぬ俺自身。その俺が、俺の考えを押し付けようとした段階で既に間違いだった、そう言う事。

 ただ……。

「約束は難しい――」

 そもそも、簡単に約束出来るのなら苦労はしない。俺の口から発せられるかなり否定的な言葉。しかし、その程度の表面的な部分で彼女の心が揺れる事はない。
 静かに見つめる事で、言葉の先を促す有希。
 でも――と、言葉を続ける俺。この辺りの呼吸も慣れたモノ。

「ただ、努力はする。それだけで勘弁して欲しい」

 今、俺が出来る約束はそれだけ。
 今まで何度の生命が繰り返され、結果、力及ばなかったのかは分からない。ただ、その度に努力はして来たと思う。少なくとも、俺は諦めが良い方でもなければ、死にたがりと言う訳でもない。更に言うと、有希との間で結ばれた俺が死した後に発動する契約が存在する以上、その契約が履行される度に、アンドバリの指輪に蓄積されて行く記憶(=経験)は大きな
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