第6章 流されて異界
第151話 誓約
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う否定的に捉えながら、俺の左腕に身体を預ける少女をどうやって説得すべきか。その答えを考え始める俺。
しかし、少し首を横に振る有希。そう言えば、今、彼女の重みを俺の腕と太ももが感じて居る事に改めて気づかされた。
今まで、明確に彼女の重みを感じた事はなかった。そんな気がする。それは、おそらく彼女自身が俺に負担を掛けない為に、敢えて自らの体重を感じさせないようにして居たから。
その自らに課した枷を取り払ったと言う事は……。
「違う。向こうの世界のわたしが、あなたが死ぬ事を許す訳はない」
温泉の中。俺の左腕に上半身を預け、太ももの上に横向きに座る美少女。その少し現実離れしたシチュエーションに一瞬、意識を奪われ掛ける俺。彼女に取って、この一瞬、この場で交わす一言、一言の重要さを、そんな些細な事からも感じられる状態。まるで、その精神的な隙を突くかのように想定以上の台詞を口にする彼女。
そう、彼女は確かにこう言った。向こうの世界のわたし……と。
気付かれたか。それとも、もう一人の俺。おそらく、前世の俺の記憶を収めた魔法のアイテム。アンドバリの指輪から夢を見せられたのか。
もしかして、試されたのか? 一瞬、そう感じる俺。確かに、その可能性もある。何故なら、彼女ならば知っているはず。ひとつの世界に同じ魂を持つ存在が同時に存在する事が出来ない事を。
その事を知った上で。――向こうの世界に未来の自分が居る事を知って居ながら、俺にハルケギニアに連れて行けと言ったトコロで、そんな望みを俺が受け入れない事は百も承知だったはず。
自らが愛されているのか。その事が知りたかったのか……。
そう考え掛け、しかし、その可能性が非常に低い事に直ぐに気が付く。
それは、彼女に取って俺の感情など手を取るように分かっているはずだから。
俺が彼女の心の奥底に秘められた感情が何となく分かるように、彼女も俺の感情が分かるはず。ふたりの関係に於いて、言葉が少ない事から発生するすれ違いは絶対に発生する事はない。
少なくとも、自分が愛されているか、どうかを試してみなければならないほど、不安になる謂れはない。本当に自慢にはならないのだが、その程度の感情なら、長門有希と言う名前の少女を見つめる度に発していたと思う。
……やれやれ。これは、有希に鎌を掛けられたと言う事だと思う。
つまり――
「想像通り、向こうの世界に未来の長門有希が居る。少なくとも、俺はそう考えている」
いや、ハルケギニアの水の精霊王。湖の乙女と名乗った少女は間違いなくこの、腕の中から俺の事をみつめている少女だ。それでなければ、アンドバリの指輪。……前世で命を失った後に、約束通り彼女の元に辿り着いた魂の記憶の部分を、彼女が持って
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