第6章 流されて異界
第151話 誓約
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った段階で排除しようと画策している。
それが、聖痕であり、オーディンのオッドアイや銀腕のヌアザの権能だと思う。
確かに彼女……長門有希に対して、向こうの世界の状況について詳しい説明を行っている訳ではない。しかし、最初に召喚された時の俺の怪我の具合から、ハルケギニア世界の状況や、其処で俺の置かれていた立場についての想像もおおよそのトコロは付いていると思う。
そう、未だ完全に、すべてを思い出した訳ではない。更に言うと、前世で経験した事件がすべて起きた訳でもなければ、今回の人生のみで発生した事件も存在する。
但し、その限られた記憶からでも、ひとつだけ確実に言える事がある。
それは、生を重ねる毎に巻き込まれる事件の難易度が上がって来ているように感じて居る……と言う事。
まるで、ループする時間の元を作っているのは俺、もしくは、俺の周囲に居る人物たちなどではなく、世界を闇。……虚無へと沈める為に画策している連中が自らの目的を達成させる為に、何度も何度も転生を繰り返しているかのような状態。
何度、似たような世界に転生を繰り返しているのか、正確な回数ははっきりしない。しかし、それでも、この異世界漂流から帰ってから巻き込まれる可能性の高い聖戦を無事に生き延びた記憶は、今の処、アンドバリの指輪は教えてはくれなかった。
「わたしは――」
東から西へと動いて行く天穹、常に継ぎ足され、枯れるまで湧き出し続ける完全かけ流しの湯。このふたつ以外に動く物、者、モノの存在していない閉じられた空間。それは、すべての意志ある生命が俺と彼女の語らいを邪魔しないように遠ざけられた世界。
その世界の中、彼女が横に首を振った瞬間、彼女を中心にしてお湯の表面に小さな波紋が広がった。
「わたしはあなたに帰って来て欲しい。そう感じて居る」
それは静かな、細く透明な何時もの彼女の声。
彼女が一言、言葉を発する度。小さく身体を動かす度に広がる波紋。それはまるで、今の彼女の心を象徴するかのように静かだった水面に広がって行く。
ゆっくり、ゆっくりと広がって行く。
「この感情が何なのか。何処から発生している物なのか、それがわたしには分からなかった」
何時ものように訥々と。まるで、すべての感情を封殺したかのような、冷ややかで淡々とした口調で、そう話し続ける有希。
しかし――
誰も気付かないレベルで潤んだ瞳。繋がった霊道から流れて来る……普段は冷静な彼女の何処にこれほどの物が隠されていたのか、と言うほどの強い感情。その言葉の中に確かな。――俺だけが気付くレベルながらも、確かな熱が加わっている事が、今の俺には理解出来た。
おそらく彼女と共に過ごした短くない時間が、この事を理解させたの
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