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STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「後編」
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 それでもソコで在ったコトを、
今は自分にとって掛け替えのない大切モノなのだと、
心から言えるから。
 毅然と胸を張って、夕闇に染まる街路を見据える少女。
 そこに。
「あっれ〜、吉田ちゃんじゃん。何してんの? こんな所で」
「一人? 池とオガちゃんは?」
 単調な電子ベルと共にコンビニの中から出てきた二人の男子生徒が
自分に声をかけた。
 佐藤 啓作と田中 栄太。
 同じクラスの自分の友人。
 その二人を少女は瞳の動きだけで一瞥した。
「!? もしかして、泣いてたの? 眼ぇ真っ赤だけど」
「……どっかのバカに何かされたのか? だったらオレが」
「……」
 そう言って騒ぎ出す両者を後目に、少女は指先だけで涙を拭った。
 凛とした表情のまま透明な雫を弾くその仕草は、
見る者にゾッとするほどの色気を感じさせた。
「なんでもないわ。ちょっと夕陽が眼に入っただけ」
 柔らかな胡桃色の瞳に、強い意志を宿らせて響く少女の言葉に
佐藤田中両名は想わずたじろく。
「それじゃあ私、もう行くから。さようなら」
 普段の気弱な印象が一転、荒野に咲き誇る可憐な花のような雰囲気を 
漂わせる少女の背を、二人は呆然と見送った。
「お、おい、いまの、吉田ちゃん、だよな?」
「あ、あぁ、双子の妹とかじゃ、ないと、思うけど……」
 気弱で怯える少女は、もうそこにはいなかった。
 ただ一人の 「人間」 として、新たなる領域へと進んだ気高さが
今の彼女を充たしていた。




【4】


「……」
 世界が、変わって視えた。
 吸い込む空気すら、清冽に胸の中を駆け抜けた。
 眼を閉じていても、視界にあるスベテをはっきりと認識する事が出来たし、
耳を澄ませば、遠い学園の喧噪さえ聴こえるようだった。
 躰中に力が漲り、その気になれば眼に付く違法駐車の車を数十台、
一分とかからずスクラップに出来る。
 そんな事を考える自分に驚きつつも、不思議と取り乱す事はなかった。
 そして。
 やがてその感覚は、自分の「背後」から生まれている事に気づく。
(……)
 鞄を両手に携えたまま、少女は鋭い視線で背後を見た。
 ソレに呼応するように、疼きにも似た感覚が背筋を撫ぜた。
(私の裡から……出たいの……?)
 心中の言葉に頷くように、疼きは一際強くなる。
 そのような異様とも云える自分の変化を、少女は当然のモノとして受け止めた。 
(いいわ……出てきて……そして……
一緒に “アノ人” の処へ行きましょう)
 そう呟いた直後、突如少女の背後で光が迸り、
彼女以外には聴こえない空間を歪めるような音と共に出現するモノ。
 初めて出逢う筈なのに、生まれてからずっと傍にいたような、そんな感覚。
 彼と、同じ能
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