STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「後編」
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は一度頷くと、携えた学生鞄をフロアに立て掛け一歩前に踏み出す。
そして。
「吉良さん」
背を向けたまま背後に立つ死者に言った。
「吉良さんは、本当は “どれくらい” 一人だったんですか?
このお店と出逢えるまで、一体どれだけの永い時を過ごされたのですか?
百年や千年じゃないですよね? 『その結論』 に行き着くまでは」
「……」
この少女は、本当に頭の良い娘だ。
恐怖や困惑に支配される事無く、
芯の強い心の裡では決然と物事の本質を
理解するコトが出来る。
「さぁ? どうだった、かな……もう、忘れたよ……」
答えてやっても良かったが、吉良は適当に誤魔化した。
「うそつき……」
少女は小さく呟いて吉良からそっと遠のいた。
「……」
何度見ても、どれを手に取っても、本当に溜息しか出ない。
銀鎖で彩られた髪飾り、クリスタルで彫金されたオルゴール、
琥珀色をした真鍮製のランプ、内部の精密機械が透けて見える懐中時計。
ソレを造った者の、或いは大切にしていた者の、
精神の鼓動が伝わってくるような不思議な感覚。
でも、どれも吉良の言ったモノとは違う気がする。
欲しいものや気に入ったものなら幾つかあるのだが、
『そういうコト』 ではないはずだ。
一つ一つ区分けされた品を慎重に見定め、やがて少女の手が止まった場所。
それまでの日用品とは一線を画す、
民族工芸のような品が多数置かれたスペースで
胡桃色の瞳があるモノを映した。
「何か、気になるモノが在ったかい?」
傍に来ていた吉良が背後から声をかける。
「コ、レ……?」
少女は振り向かず瞳を丸くしたまま、壁に掛けられたモノを差した。
ソレは、余りにも異様な、店の雰囲気にそぐわない一つの 『仮面』
罅割れた表面の質感から、どうやら石で出来ているらしいその仮面は
明らかに装飾用のソレではなく、寧ろ禍々しいといった印象を受ける。
骨董品というよりは、呪術的な歴史の遺物に近いその仮面。
しかし少女はソレに、何故か異様な執心を覚えた。
「よかったら、被ってみるかい? 余り似合いそうにはないが」
「いえ、流石にそれは、ちょっと」
柔らかな敷布に乗せられていた鉄球を掌で弄ぶ吉良の申し出を
少女は丁重に断った。
それにしても、このスペースには他と比べて変わったモノばかり並べられている。
大きさの割りには妙に軽い石の塊や、遁甲盤を背負う龍の彫像、
読むのに難儀しそうな分厚い本、そうかと想えばやけに大仰な
近代機器の装置のようなモノまで脇に置かれている。
一貫性があるのかないのか、まるでこの部分だけ滅裂な異邦空間だ。
そう想い少女が視線を上に向けた先。
「……ッ!」
先刻と同じ、否
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