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STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「後編」
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立っていられないその男の持つ(サガ)に、
背筋が凍り付くほどの戦慄を覚えた。
「……でも、吉良さん “ここにいますよね”
それは、どういう事ですか?
今仰った事が本当だとすると……」
 口唇を震わせながらも、少女は感じた矛盾を口にした。
 名前からして吉良が 『生きていた』 時代は、
自分とそう変わらない年代である筈。
 ソコから逆算すると、時間軸的に説明がつかない。
「フッ、良いところに気がついたね」
 内気で臆病ではあるが、意外に賢明である少女の洞察に吉良は微笑を浮かべた。
「その答えは “この店” さ。
さっき説明した通り 『幽霊は時間や空間に縛られない』
そしてこの屋敷幽霊は、異なる時空間を 「漂流」 するタイプのモノなんだ。
無論移動先は指定出来ないし、どこの “時代” に流れるのかはこの店しか知らない。
一つだけ確かなのは、此処がいつでも 『訪れる者』 を待っているというコトさ。
選んだ人間を無作為に招き寄せる “悪魔の手のひら” のようにね」
「……」
 今更、吉良の言う事を疑う気は起こらなかったが、それでも少女は小さく呼気を飲んだ。
 自分が、この場所に選ばれた?
 突拍子もない話だが、それならば此処に至る幾つもの不可思議な過程も
一応は説明がつく。
「でも、どうして私なんかが……」
 困惑する少女に吉良は淡々と告げた。
「さぁ? ソレは君とこの店しか知らない。
正確には此処に並ぶ品物のどれかがね。
私が集めたのもあるが、この店に並ぶモノはスベテ例外なく幽霊だ。
永い永い時が流れ、スベテの生命が滅び絶えた後も遺っていた、
人間の存在の 『証』 その想いの結晶が君を此処へと招き寄せた。
私に言えるのはソレ位だ」
 そう言うと吉良はおもむろに立ち上がり
カウンターの前へと促す。
 少女も猫草を肩に乗せたまま静かに続き、改めて幻想の店内を一望した。
(本当に、キレイ……)
 吉良の説明を受けた後だと、目の前に広がる光景にまるで違った印象を受ける。
 胸に迫る感慨と、瞳を潤ませる精神の美しさ。
 幽霊が怖いモノだなんていう考えは、ただの偏見だとしか想えない位。
 例え死しても、人の生きた 『証』 は永遠に遺る。
 その 『真実』 が、未来への遺産が、
形容(カタチ)となって此処に存在していた。
「……」
 しばし呆然と魅入っていた自分の肩に、体温を感じない手がそっと置かれる。
 そして生と死を分かつ “案内人” の声が穏やかに告げた。
「さぁ、探しておいで。
君を引き寄せたモノを、君が引き寄せたモノを。
難しく考えるコトはない。
君が最も心引かれた品を、ただその手に取ればいいんだ。
理屈は必要ない。
ソレは、君の欠けた心の一部なのだから」
 少女
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