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STARDUST唐eLAMEHAZE/外伝
吉田 一美の奇妙な冒険 「後編」
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、決してそれが消費されるコトはない。
 これも、幽霊故の特性なのだろうか。
 静かにカップを置いた少女は再び目の前で脚を組んで座る吉良に問いかけた。
 状況に精神が対応しつつあるのか、奇妙な空間の中で
不思議と落ち着いている自分がいた。
「あの、もしかして吉良さんは、
この街の “守り神様” なのですか?
何か、私が生まれるよりずっと昔から此処におられるみたいですし」
「守り、神? この、私が?」
 吉良はそこで初めて感情に綻びを見せると、
まるで少年のように無垢な笑い声をあげた。
「クッ……ハッハッハッハッハッ!
これはいい。今まで何人もこの店に訪れた者がいたが、
そんな事を言われたのは初めてだよ」
「……」
 本当にそう想ったから言ったのに、自分なりに一生懸命考えて。
 間違えたのは悪いと想うけど、何もそんなに笑わなくてもいいじゃないかと
少女は少しだけムッとした反応を後頭部に浮かべる。
「イヤ、失礼失礼。気を悪くしたのなら謝るよ。
正直、少し嬉しかったからかな」
 吉良は言いながら脚を組み直し改めて少女に向き直った。
 そして総身に漂う穏やかな雰囲気を一転、
その灰色の瞳に昏い光を宿らせ、自分自身を嘲笑うように言った。
「私の正体は、ただの “罪人” だよ。
天国に行く事を赦されず、
永劫に続く時の円環の中から抜け出せなくなった、ただの愚者さ」
 笑ってはいるが冗談を言っているわけではない、
変貌した双眸に気圧されながらも少女は疑問を口にした。
「それは一体、どういうコトなのですか?
吉良さんには、生きていた時の 「記憶」 がないのでしょう?
それじゃあ自分が 「悪い人」 だったかどうかなんて、解らないじゃないですか」
 通常の領域ではないが、論理的ではある少女の問いに吉良は答える。
「確かに、私に自分の名前以外の記憶はない。
でも “ソレ自体が答え” なんだ。
天国には行けないという実感も併せてね」
 そう言うと吉良は顔の前で片手を付き、
昏い瞳を覗かせたまま確乎たる口調で続けた。
「きっと、 『生きていた時の私は』
筆舌に尽くし難い悍ましい行為を、繰り返し犯していたのだろう。
『想い出す事すら赦されない』
残虐で卑劣な行為をね」
 常人には想像も付かない時の彼方を振り返りながら、
吉良の瞳は更に昏さを増した。
「普通の人間は、死ねば魂が此処ではない何処かへと昇っていく。
でも私には、いつまで経っても 「迎え」 が来なかった。
何年経っても、何年経っても、ね……
そして、終わりのない世界にただ一人取り残されたまま考えた。
コレは、自分に与えられた 【罰】 なんじゃないかってね」
「そんな……」
 少女の背を、冷たい雫が伝った。
 正気では一秒たりとも
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