第五十九話 前へ進むために
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
シノン「嫌、いや、いやよ、そんなの、」
不意に、喉の奥が塞がる感覚と共に、シノンは呼吸が出来なくなった。
背筋を反らせ、空気を求めて喘ぐ。
俺は彼女を力一杯抱きしめ、シノンの耳元で叫ぶようにして声を掛けた。
サクマ「ダメだシノン!! 自動切断でのログアウトは危険すぎる!! 頑張って、気持ちを落ち着かせて、今は大丈夫だから、危険はない!!」
シノン「あ、あっ、」
シノンは闇雲に手を動かし、声の主に縋り付くすがりつく。
その身体に腕を回し、無我夢中で抱き付く。
俺は、シノンの耳に優しく囁きかけた。
サクマ「死銃の黒い拳銃、《黒星》に撃たれるまで、侵入者は何もする事が出来ない。 それが、死銃達の定めた制約。 でも、自動ログアウトして、死銃の顔を見てしまうと逆に危険だ。 だから、今は落ち着け。」
シノン「でも、でも、怖い。 怖いよ。」
シノンの身体の震えが治まったのを感じた俺は、シノンに訊ねた。
サクマ「落ち着いたか?」
シノンは深く息を吐き、瞼を閉じてから、呟いた。
シノン「うん、ありがとう。 これからどうすればいいのか、教えて。」
思ったよりも、しっかりした声が返ってきた。
俺はシノンの髪を撫でるのを止め、即座に答えた。
サクマ「死銃を倒すんだ。 そうすれば、現実世界でシノンを狙う共犯者は、何も出来ないはず。 と言っても、シノンは此処で待機してろよ。 俺達が戦う。 あの銃を使っても、俺達を殺すことは不可能だからな。」
シノン「本当に、大丈夫なの?」
キリトが俺の隣に移動し、答えた。
キリト「ああ、大丈夫だ。 俺達はエントリーの時に名前も住所も書いていないし、そもそも俺達は自宅からダイブしているわけじゃないんだ。 すぐ近くに人も居るしな。 だから大丈夫だ。 ゲームに則って奴を倒すだけだ。」
シノン「でも、死銃は≪黒星≫抜きでも、かなりの腕だわ。 回避力だけでも、貴方たちと同等かもしれない。」
シンタロー「まぁな。 だから最悪の場合はお土産グレネードで道連れにするさ。」
シノン「・・・私も戦う。 死銃の隙を狙って牽制くらいは出来るかもしれない。」
俺達が言葉を発しようとしたが、シノンが遮った。
シノン「今回の発言は自暴自棄になってない。 それに此処にも隠れて居られないしね。 私たちが洞窟に隠れてることに、他のプレイヤーも気付いてる。 何時グレネードで攻撃されてもおかしくない。 むしろ、三十分近くも無事だったのはかなり運がよかったわ。」
俺達は頷いた。
キリト「じゃあこうしよう。 次のスキャンで、俺がわざとマップに位置を表示させて、死銃をおびき出す。 その隙を狙ってシノンは狙撃してくれ。」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ