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SAO〜円卓の騎士達〜
第五十九話 前へ進むために
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中の打撲と、右肩を脱臼したけど、それ以外に怪我はなかった。 身体の傷はすぐに治ったけど、治らないものがあった。 私、それからずっと、銃を見ると吐いたり倒れたりしちゃうんだ。 テレビや、漫画とかでも、手で、ピストルの真似をされるだけでも駄目。 しかもその事件のせいで私はいじめにあってた。 そんなときはいっつも拓真が守ってくれたんだけどね。 銃を見ると、目の前に、殺した時のあの男の顔が浮かんできて、怖いの。 すごく、怖い。 でもこの世界では大丈夫だった。 発作が起きないだけじゃなく、幾つかの銃は好きになれたんだ。 でもさっき、死銃に襲われた時、発作が起きそうになって。 いつの間にか《シノン》じゃなくて、現実の私に戻っていた。 だから、だから私は、あいつと戦わないと駄目なの。 あいつと戦って、勝たないと、《シノン》が居なくなっちゃう。 死銃と戦わないで逃げちゃったら、私は前より弱くなっちゃう。 もう、普通に暮らせなくなっちゃう。 だから、だから、」

シノンはこの闇を一人で抱え続けて来たのか。
俺がゆっくり口を開いた。

サクマ「俺も人を、殺した。」
シノン「え?」
キリト「サクマだけじゃない、俺もだ。」
シンタロー「さっき話したラフコフとの戦いでな。」
シノン「私、あなた達のしたことには、何も言えない。 言う資格もない。 だから、本当はこんなこと聞く権利もないけど。 でも、お願い、一つだけ教えて。 あなた達は、その記憶を、どうやって乗り越えたの? どうやって、過去に勝ったの? なんで今、そんなに強く居られるの?」

俺は首を左右に振った。

サクマ「乗り越えてない。 それに、これから一生乗り越える気も無い。」
シノン「え、」
サクマ「人の命を奪った事を忘れる、なんて事は不可能なんだ。 俺の前で、死んで逝った人たちの声や顔は、一生忘れることは出来ない。」

シノンは呆然と呟いた。

シノン「じゃあ、ど、どうすればいいの。 わ、私、」

それは、シノンには恐ろしい宣告になっただろう。
必死に乗り越えようとしていたものが、一生消し去る事が出来ないなんて。

キリト「でもな、シノン。 それは正しい事なんだよ。 この手で彼らを斬った、殺した意味、その重要さを、受け止め、考えていくんだ。 今の俺たちに、出来る事で償うしかないんだ。」
シノン「受け止め、考え、向き合う。 私、私には、そんなこと出来ない。」

シノンは、再びサクマに肩口に寄り掛かった。
そして、呟いた。

シノン「《死銃》」
キリト「え?」
シノン「じゃあ、あのぼろマントの中に居るのは、実在する、本物の人間なのね。」

シノンの問いに、キリトが答えた。

キリト「ああ、そうさ。 あいつ元《ラフ
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