第五十九話 前へ進むために
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があろうと戦えたかもしれない。 今は守りたいものが出来たからな。 命を軽く扱う事は出来ないさ。」
サクマ「右に同じ。」
シノン「守りたい、もの?」
キリト「そうだ。 俺達には、仮想世界でも現実世界でも、守らなくちゃいけないものが沢山あるんだ。」
シノンは、二人の言葉は人との繋がりを言っているのだろう、と感じた。
口から勝手に言葉が漏れる。
シノン「三人とも、このまま洞窟に隠れてればいいじゃない。 BoB中は自発的ログアウト不可能だけど、大会が進んで私たちが誰か一人が生き残れば、その時点で脱出出来る。 自殺して、その誰かを優勝させればいい。 それで大会が終わるわ。」
俺達は、『そういう手もあったか』と、微笑した。
だが、俺達は首を横に振った。
シンタロー「そう手もあるけど、そういうわけには行かないんだ。」
やっぱり、君たちは強いよ。
守りたいものがあると言いながら、命の危険を冒して、あの死神に立ち向かう勇気を失っていない。
私は失おうとしているのに。
死銃に黒いハンドガンを向けられた時、完全に竦み上がった。
骨の髄まで凍り付いた。
氷の狙撃手シノンは、消え去る瀬戸際にいる。
このまま洞窟に隠れていたら、二度と自分の強さが信じられなくなるだろう。
そして、全ての銃弾が標的を外すだろう。
シノンは眼を逸らし、呟くように言った。
シノン「私、逃げない。」
俺達「「「・・・は?」」」
シノン「逃げない。 此処に隠れない。 外に出て、あの男と戦う。」
俺は眉を寄せ、低く囁いた。
サクマ「だめだ、シノン。 あいつに撃たれば、本当に死ぬかもしれないんだ。 俺とキリトは、完全な接近戦タイプで防御スキルも色々あるし、シンタローもある程度は接近戦も出来るが、君は違う。 姿を消せるあの男に零距離から不意打ちされたら、危険は俺たちの比じゃない。」
シノンは暫く口を閉じた後、静かに唯一の結論を口にした。
シノン「死んでも構わない。 私、さっき、すごい怖かった。 死ぬのが恐ろしかった。 五年前の私よりも弱くなって、情けなく、悲鳴を上げて。 そんなんじゃ、ダメなの。 そんな私のまま生き続けるくらいなら、死んだ方がいい。」
サクマ「怖いのは当たり前だ。 死ぬのが怖くない奴なんて居ない。」
シノン「嫌なの、怖いのは。 もう怯えて生きていくのは、疲れた。 別に、貴方たちに付き合ってくれなんて言わない。 一人でも戦えるから。」
そう言ってからシノンは腕に力を込め、立ち上がろうとした。
だが、その手を俺が掴んだ。
サクマ「一人で戦って、一人で死ぬ気なのか。」
シノン「そう、たぶん。 それが私の運命だったんだ。」
サクマ「ふざ
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