第五十八話 因縁との再開
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其処に現れたのは、表面がボロボロに毛羽だったマント、頭部を完全に覆うフード。
姿を現した襲撃者を、私は呆然と見詰めた。
あれは、《死銃》。
死銃が滑るような動きで近づいてくる。
命中したのが左腕だったので、右腕が僅かに動かせる状態だ。
副武装として腰に下げたMP7のグリップを握り、上向け、トリガーを引く事は可能かもしれない。
右手がじりじりと動き始め、指先に握り慣れたMP7のグリップが触れる。
今まで気にしなかったけど、死銃の後方の上空には、中継用のカメラが【●REC】の文字を赤く点滅させながら浮かんでいる。
死銃はカメラを確認してから、勝ち誇ったように十字ジェスチャー行為を行っている。
私はMP7のグリップを掌で捉えた。
後は標準して、トリガーを引くだけ。
が、死銃がマントの中から抜いた黒い拳銃が眼に入った瞬間、私の全身が凍り付いた。
シノン「(何で? あの銃は何の変哲もないハンドガンのはず。)」
死銃は左手をスライドに添え、銃の左側面を晒した。
正確には、縦に滑り止めのセレーションが刻まれた金属グリップと、その中央に存在する小さな刻印が。
円の中央に、星。
黒い星。
黒星ヘイシン。 五四式。
あの銃。
力を失った右手から、最後の望みであるMP7が滑り落ちた。
死銃は、かちっ、と音を立ててハンマーを起こしてから左手でグリップを包み、狙いを私に照準した。
ステルベン「黒騎士、龍騎士、軍師。 お前達が、本物か、偽物か、これで、はっきり、する。」
今死銃が携えている銃は、五年前ある小さな郵便局に押し入り、お母さんを撃とうとした男が持っていた拳銃。
幼かった私が無我夢中で飛び掛かり、男に突き付け、男の命を奪った銃。
男を殺した銃が、今私に向けられている。
フードの内部の暗闇が奇妙に歪み、血走った深いような眼が見える。
あの男の眼だ。
いたんだ。 ここにいたんだ。 この世界に潜み、隠れて、私に復讐する時を待っていたんだ。
全身の感覚が失われていた。
夕空の赤も、廃墟の灰色も消え去り、暗闇の中に二つの眼と、一つの銃口だけが見えた。
あの指が数ミリ動けば、ハンマーが撃針を叩き、銃弾が発射されるだろう。
仮想の銃弾では無く、本物の銃弾だ。
シノン/朝田詩乃の心臓を撃ち抜き、止め、殺す。
私が男にそうしたように、これは運命だ。
決して逃れる事の出来ない運命。
私は思考を閉ざし、最後の瞬間を待った。
しかし、
ズドオォォォン!!
轟音が鳴り響き、ステルベンの動きが止まった。
ステルベン「くっくっく、甘いな、軍師。 何故、今の、隙に、撃って、当てなかった?」
シンタロー「てめぇには聞
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