第五十七話 死銃の力
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だが、俺はそうしなかった。
押し黙ってしまったシノンに、俺は囁いた
キリト「今派手に撃ち合って、銃撃を向こうに聴かれたくないんだ。」
俺の視線の先では、今まさに一つの遭遇戦が始まろうとしていた。
シノン「どういう意味、」
キリト「あの橋で起きる戦闘を最後まで観たい。 それまで手を出さないでくれ。」
この近くにはステルベン、hope、グレイがいて、今戦っている片方がペイルライダーだ。
偶然にしては可笑しすぎる。
シノン「観て、それからどうするの? 改めて撃ち合うなんて、間抜けたこと言わないでね。」
キリト「状況にもよるが、俺は此処から離れる。 君を攻撃しない。」
シノン「私が背中から狙撃するかもよ?」
キリト「それは勘弁願いたいけどな。 もう始まる!」
俺は再び橋の方を見ると、左手のファイブセブンを下ろしホルスターに収めた。
これを見てシノンは呆れ、肩の力を抜いていた。
シノン「仕切り直せば、今度はちゃんと戦ってくれる?」
キリト「ああ。」
頷く俺を確認したシノンは、MP7を下ろした。
まぁ、シノンは警戒してトリガーから指を離さなかったが。
俺は力を抜き、シノンの左隣に腹這いになった。
俺はベルトのポーチから小さな双眼鏡を取り出し、眼に当てる。
シノンは俺の態度に呆れを通り越したのか、MP7を左腰のホルスターに戻した。
シノンはへカートを構え、スコープを覗き込んだ。
俺の視線の先には長橋の、こちら側のたもとに伏射姿勢を取ったダインの姿が映った。
ダインは、SG550を小揺るぎもさせず構え続けた。
流石というべきか、BoB本戦に出て来た事はある。
集中力が切れない限り、ペイルライダーもおいそれと近づくことが出来ないだろう。
シノン「・・・あんたがそうまでして見たがっている戦闘、このままじゃ起きないかもよ。 それにダインも、何時までもああして寝転がってないだろうし。 もしあいつが立って移動しようとしたら、私その前にあんたを撃つからね。」
キリト「ああ、そうなったら、いや、待った。」
向こうの岸から、ゆらりと一人のプレイヤーが姿を現したのだ。
痩せた長身を、青白い柄の迷彩スーツに包んでいる。
黒いシールド付きのヘルメットを被っているので顔は見えない。
武装は、片手に携えている軽量な《アーマライト・AR17》のショットガンだけだ。
間違えなく、あのプレイヤーがダインを追っていたペイルライダーだろう。
伏せるダインの両肩に緊張が走る。
張り詰めた気配が、遠く離れた俺たちの所まで伝わってきた。
対照的にペイルライダーは、ダインの構えるSG550に怖れることなく橋に近づいてくる。
シノン
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