第五十三話 事件の予感
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茂村氏が番組出演中に突如消滅したのが、十一時三十分十五秒。」
俺が呟いた。
和人「偶然だろう。」
菊岡「いや、そうでもないんだ。 実はもう一件あるんだ。 今度は約十日前、十一月二十八日だな。 埼玉県さいたま市大宮某所、やはり二階建てアパートの一室で死体が発見された。 新聞の勧誘員が、電気は点いているのに応答がないんで、居留守を使われたと思って腹を立て、ドアノブを回したら鍵が掛かっていなかった。 中を覗くと、布団の上にアミュスフィアを被った人間が横たわって居て、同じく異臭が、」
『ごほん!!』と隣の席のマダムが咳払いをして、凄まじい邪眼をこちらに向けていたが、菊岡は会釈をしただけで会話を続けた。
菊岡「まぁ、詳しい死体の状況は省くとして、今度もやはり死因は心不全。 名前は、これも省いていいか。 男性、三十一歳だ。 彼もGGOの有力プレイヤーだった。 キャラネームは、《薄塩たらこ》? 正しいのかなこれ? 今度のはテレビの中では無く、ゲームの中だね。 アミュスフィアのログから、通信が途絶えたのは、死体発見の三日前、十一月二十五日、午後十時零分四秒。 死亡推定時刻もそのあたりだね。」
これまで、静かに話を聞いていた拓真が言った。
拓真「じゃあ、その銃を持ったプレイヤーは、同一人物なのか?」
菊岡「そう考えていいかもしれないね。 毎回同じキャラネームを名乗っているからね。」
和人、拓真、シンタロー「「「どんな?」」」
菊岡はタブレッドを滑らせ、
菊岡「《シジュウ》それに、《デス・ガン》。」
すなわち、≪死銃≫か。
シンタローはテーブルの椅子から立ち上がり、俺の肩を叩いた。
シンタロー「悪いな、菊岡さん。 俺達は手伝えそうにない。 帰るか。」
和人「おう。」
俺も立ち上がろうとすると菊岡が、
菊岡「わぁ、待った待った。 ここからが本題の本題なんだよ。 ケーキもう一つ頼んでいいからさ、あと少し付き合ってくれ。」
シンタローは再び椅子に座り、大きく溜息を付いてから、言った。
シンタロー「あと、五分な。」
菊岡「えっと、アカウントを持ってるシンタロー君は良いとして、二人にはガンゲイル・オンラインにコンバートして、この《死銃》なる男と三人で接触してくれないかな。」
と言い、菊岡はにっこりと笑った。
直後、先程と比較にならない威圧感が拓真から発せられた。
拓真「菊岡、俺達に、《撃たれてこいって》、言っているんだろ。 その《死銃》に、」
菊岡「いや、まぁ、ハハ、」
菊岡は額から、冷汗をだらだらと零している。
しょうがない、俺が助け船を出すか。
和人「菊岡さん。 何でこの件にそこまで拘るんだ?」
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