第五十三話 事件の予感
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と話をして、俺は帰る事にした。
詩乃「今度は佑真も連れてきてよ。」
拓真「あぁ。 分かった。」
俺達は連絡先を交換した。
その帰り道、俺は空を見上げながら呟いた。
拓真「この二年間、約束を守れなくてごめんな。 詩乃。」
〜side out〜
数日後
〜和人 side〜
俺は一度溜息を吐いてから、店のドアを押し開けた。
『いらっしゃいませ。 お二人様でしょうか?』と静かに頭を下げるウエイターさんに、待ち合わせです、と答えて店内に足を踏み入れる。
店内は、どれを取っても高級そうな装飾品などが飾られている。
セレブ御用達の店、と言った所だろう。
俺は広い店内を見渡した。
奥の窓際の席から、無遠慮な大声が俺たちを呼んだ。
「おーい。 キリト君、シンタロー君、サクマ君、こっちこっち!」
途端に、非難めいた視線が集中する。
呼び出された俺と拓真とシンタローは首を縮めて、声の主へと近づき、向い合わせに成るように腰を下ろす。
待ち合わせをしていた人物は、菊岡誠二郎。
太い黒縁の眼鏡にしゃれっ気の無い髪形、生真面目そうな線の細い顔立ち。
とてもそうは見えないが、これで国家公務員なのだ。
所属するのは、総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室。
省務内での名称は、通信ネットワーク内仮想空間管理課、通称《仮想課》。
俺は差し出されたメニューを手に取り、広げた。
テーブルの向かいから陽気な声が飛ぶ。
菊岡「ここは僕が持つから、何でも好きに頼んでよ。」
和人「ああ、そのつもりだ。」
メニューに目を走らせると、恐ろしいことに最も安くても《シュー・ア・ラ・クレーム》の千二百円。
だが、よくよく考えてみればこの男は政府の人間であり、それ以前に支払いは交際費、つまり国民の血税によって行われる。
阿保らしくなった俺は、平静を装った声で次々にオーダーした。
和人「ええと、パルフェ・オ・ショコラと、フランボワズのミルフィーユ、に、ヘーゼルナッツ・カフェ。」
拓真「ダージリンを一つ。」
シンタロー「俺はエスプレッソで。」
俺のだけで三千九百円だ。
「かしこまりました」
ウエイターが退場して、俺は一息ついた。
菊岡は最後のプリンの欠片を口に運び、顔を上げ無邪気な笑みを浮かべた。
菊岡「やぁ、ご足労願って悪かったね。 それにしても、アーサー君が風邪とは、珍しいね。」
和人「あぁ。 アイツは超健康優良児だ。 本当に珍しい。 槍でも降るんじゃ無いか?」
拓真「で、何でこんな所に俺たちを呼び出したんだ?」
シンタロー「あぁ。 協力するかは話を聞いてからだ。」
菊岡「いや
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