第五十二話 VRMMOの本当の姿
[1/10]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
〜和人 side〜
「それでは今日はここまで、課題ファイル25と26を転送するので来週までにアップロードしておくこと。」
午前中の最後の授業(古典文法)が終わり、教師が大型パネルの電源を落としてから立ち去ると、広い教室には弛緩した空気が漂った。
俺はマウスを操り、ダウンロードされた課題ファイルを確認してから、大きな溜息を吐いた。
端末をバックに放り込み、肩に掛けて立ち上がろうとすると、隣席の仲のいい男子生徒が見上げて言ってきた。
「あ、カズ、食堂行くなら席取っといて。」
「無理無理、今日は《姫》と、だろ。」
「あ、そうか。 ちきしょう、いいなぁ。 じゃあ、リュウ、席取っといてくれるか?」
龍也「残念だったな。 俺も用事があるんだ。」
「・・・おのれ、リア充共、爆発しろ!」
俺達二人は苦笑いをしながら教室から出る。
龍也「じゃ、また後で。」
和人「おう。」
階段の所で、俺は下に、龍也は上に向かう。
和人「よ、明日奈、今朝ぶり。」
明日奈「うん、今朝ぶりだね。」
和人「ああ、疲れた、腹減った。」
明日奈「じゃ、早速ご飯にしようか。」
そう言ってから明日奈は、バックの中からバスケットを取り出した。
今日のメシはなんだろうか、楽しみだな。
明日奈「あ、そうだ。 キリト、じゃなかった和人君。 ここって食堂から丸見えなんだよ。 知ってた?」
和人「なぬ!?」
明日奈「使ってるのは騎士団の皆とリズだけどね。」
和人「なら、まぁ、良いか。」
明日奈「じゃ、今度こそご飯にしようか。」
木綿季は隣に置いたバスケットを膝の上に乗せ、蓋を開けた。
キッチンペーパーの包みを一つ取り出し、俺に差し出す。
受け取って紙を開くと、それはレタスのはみ出た大ぶりのハンバーガーだった。
香ばしい香りに刺激され、かぶり付く。
和人「こっ、この味は、」
明日奈「ふふっ、やっぱり覚えてたね。」
和人「忘れるもんか。 第74層の安地で食べたハンバーガーだ。」
明日奈「味の再現に苦労したよ。 こんなに苦労するとは思わなかった。」
明日奈「で、和人君。 午後の授業は?」
和人「今日はあと二コマかな。 まったく、黒板じゃなくてELパネルだし、ノートじゃなくてタブレットPCだし、宿題は無線LANで送られてきやがるし、これなら自宅授業でも一緒だよなぁ。」
ぼやく俺を見て、明日奈が笑った。
明日奈「パネルとかPC使うのは今の内だけらしいよ。 そのうち、全部ホログラフィになるって。 此処は次世代の学校のモデルケースになるらしいよ。」
この特殊な《学校》に通う生徒は全て、中学、高校時代にSAO事件に巻き込まれた者が通う
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ