第五十話 世界樹の上へ
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の幹がただ伸びていただけであった。
ALOのプレイヤーたちが夢見た頂きには、何もなかったのだ。
キリト「無いじゃないか、空中都市なんて、」
俺は呆然と呟いた。
全ては中身のないギフトボックスであったのだ。
包装紙やリボンで飾り立て、しかしその内側に広がるのは空疎な嘘。
キリト「許されないぞ。」
俺は思わず呟いていた。
この世界を動かしている、誰かに向かって。
サクマ「キリト。」
サクマの声で我に戻る。
ユイも、気遣わしそうな顔で見上げていた。
キリト「ああ、そうだな。 行こう。」
全ては、アスナとアヤノを救い出してからだ。
人工的な小刻みな道を、ユイの手を握り、走り始めた。
道の先には、夕陽の光に反射して、金色に光る何かがあった。
写真で見た鳥籠だ。
俺は直感で解った。
あの中には、アスナとアヤノが居る。
二人も感じているはずだ、あの中に居る人物を。
走る速度が増していく。
遂に、鳥籠の前に到着した。
テーブルの椅子には、二人の少女が座っている。
間違いない、アスナとアヤノだ。
キリト「アスナ、」
シンタロー「アヤノ。」
俺とシンタローは、優しく囁きかけた。
ユイも叫んだ。
ユイ「ママ!! アヤノさん!」
ユイは閉ざされた格子に手を当て、その手を青い輝きが包んだ。
直後、金属の格子が、吹き飛んで消滅した。
開け放たれた入口から、鳥籠内部に駆け込む。
そのまま、アスナの胸の中に飛び込んだ。
ユイ「ママーー!!」
アスナ「ユイちゃん、来てくれたのね。」
アスナは、ユイを抱きしめた。
俺の隣に立っていたシンタローも、アヤノの元に駆け寄った。
シンタロー「アヤノ、助けに来たぞ。」
アヤノ「もう、遅いよ。」
アヤノは黒髪を揺らしながら、椅子から勢いよく立ち上がり、大粒の涙を流しながらシンタローと抱き合った。
キリト「ごめんな、遅くなった。」
俺が呟くと、アスナが応えた。
アスナ「信じてたよ。 絶対に助けに来てくれるって。」
キリト「ああ、帰ろう。 現実世界へ。」
サクラ「ちょ、ちょっと待って! アーサーは!?」
アヤノ「えっ!? アーサーがここにいるの?」
サクラ「現実ではアーサーもまだ目覚めてないの! ここにいると思ったんだけど、、!!」
サクラの言葉が途中で途切れたのは、いきなり鳥籠の内部が水没したからだ。
鳥籠内部が深い暗闇に覆われていく。
呼吸は出来るが、空気が異常に重くなった。
ユイが声を上げた。
ユイ「パパ、ママ、皆さん、気を付けて! 何か、よくないモノが、!」
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