211部分:第二十八話 船の上にてその六
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第二十八話 船の上にてその六
「だったらここはミスティがいれば大丈夫か」
「俺達は安心して飲むとするか」
「そうだな」
「生憎だがその論理にはならない」
しかしミスティもまた彼等を止めるのだった。
「酒は飲んでもいいが」
「そうだろ?だったらよ」
「ここはもうパーーーーーーッとよ」
「今我々は何時戦闘になってもおかしくはない」
ミスティは何としても羽目を外そうという彼等に対して告げるのだった。
「それで酔いしれてどうするつもりだ?私だけで闘えというのか?」
「あれっ、そうじゃないのか?」
「ここは白銀のあんたが」
「馬鹿を言え」
ミスティは真面目な声でまた彼等に告げた。
「私一人だけで闘えない場合もある。そうした時に御前達もいる」
「あらっ、じゃあ馬鹿騒ぎはできないんですか」
「それじゃあ」
「当たり前だ。わかったら程々にしておけ」
またこう告げるのだった。
「いいな。それではな」
「ちぇっ、まあ飲めるだけでもいいか」
「そうだな」
とりあえずはそれで納得することにするのだった。彼等は早速アフロディーテから紹興酒を貰い甲板の上で車座に囲んで飲みだす。つまみは何処からか干し肉を出してきてそれで一杯やるのだった。
アルゴルはその横でゆったりとした椅子に座り休んでいた。その彼に対してミスティが声をかけてきた。
「それで大丈夫か?」
「ああ、安心してくれ」
こう彼に返すアルゴルだった。
「少し休めばよくなる。その程度だ」
「そうか。ならいいがな」
ミスティは彼の確かな言葉を聞いてとりあえずは安心した。
「では何かあればすぐに動けるな」
「それは安心してくれ」
微笑んで言葉を返すアルゴルだった。
「それはな。もうすぐにな」
「そうか。それではな」
「しかし。武漢までは長いな」
そしてこうしたことも話すのだった。
「かなりな。長いな」
「それも当然だ。長江は世界でも屈指の長河だ」
中国はもう一つ黄河がある。どちらも極めて長大で有名な河だ。この二つの河が中国という口を形作ったと言っても過言ではない。
「普通の長さではないからな」
「それもそうだな」
ミスティの言葉を聞いてあらためて頷くアルゴルだった。
「では腰を据えて武漢に向かうか」
「そうするしかない。それでアルゴルよ」
「うむ」
「何か持っているか?」
不意にこんなことを彼に尋ねるミスティだった。
「本か何か。持っているか?」
「小説ならあるが」
こうミスティに答えるアルゴルだった。
「長旅に備えてな。持ってきている」
「そうか。ではよかったら一冊貸してくれないか?」
「ああ、いいぞ」
応えながら懐から一冊の本を取り出してきた。
「よかったら読んでくれ。日本の本だ」
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