第四十九話 グランドクエスト
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〜キリト side〜
ALOから戻った翌日、いや、正確にはその日の朝。
薄く雪の残る庭に出ると、冷たい朝の空気が体を包んだが、俺の頭に居座る微かな眠気が消える事は無かった。
何度か顔を左右に振ってから、庭の隅にある手洗い場へ向かう。
水道管の蛇口を捻り、零れる冷水を両手で受け止めてから、顔にばしゃりと顔に浴びせた。
和人「ッ、!!」
構わず二度、三度被り、首にかけたタオルで顔を拭いていると、縁側のガラス戸が引き開けられ、ジャージ姿の直葉が顔を覗かせた。
直葉「おはよー、お兄ちゃん。」
直葉は、まだ半眠半覚醒といった顔でぼーっと頭を揺らしている。
直葉は、そのまま俺の前までやって来た。
和人「おはよう、スグ。 眠そうだな。 まぁ、《こっち》に還って来たのが、午前三時過ぎだからな。」
俺はちょっとした悪戯心が出て来た。
これを実行すれば、直葉は完璧に覚醒するだろう。
後が怖いかもしれんが。
和人「スグ。 後ろ向いてみ。」
直葉は首を傾げてから、くるりと半回転する。
無防備な背中に、極低温の水滴を半ダースほど投下する。
直葉「きゃ――――――ッ!!」
飛び上がった直葉の悲鳴と俺の頬にビンタされた音が、桐ケ谷家に響き渡った。
直葉は、近所のファミレスで宇治金時ラズベリークリームパフェを奢る約束をしたら、機嫌を直してくれた。
それから一階のキッチンに向かい、朝食の準備に取り掛かることにした。
母親の翠は徹夜の仕事帰りで、案の定寝室で爆睡中だったので、俺と直葉の二人で朝食を摂る事になる。
直葉がサラダボールの中のトマトをフォークで刺した後、俺に聞いてきた。
直葉「そういえばお兄ちゃんは、学校はどうするの?」
今の俺の年齢は十六歳。
本来ならば今月の四月から俺は高校二年のはずだが、当然入試など受けていないし、今までに勉強した内容はSAO関連の事で頭が埋め尽くされていて、覚え直しが必要になる。
アイテムの値段やらモンスターの攻撃パターンを忘れ、歴史の年号や英単語を覚えるだけでも一苦労になるだろう。
俺は齧っていたトーストを皿の上に戻し、口を開いた。
和人「ええと、確か、都立高の統廃合で空いた校舎を利用して、SAOから帰還した中高生向けの臨時学校みたいの作るらしいな。 入試なしで受け入れて、卒業したら大学受験資格もくれるらしい。 だから俺達は、そこに入学って事になるかな。 でも待遇が良すぎるんだよな。 多分、SAO帰還者を一箇所に纏めておきたいんだと思う、その方が政府も安心できるから。」
政府は、SAO帰還者を一箇所に集めて管理しておきたいのだろう。
何せ俺たちSAO帰還者は、二年も殺伐とし
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