願いはいつか.... 【ありのままのぎーの】
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パスを出した。
(…!?まさか!?)
ここで、私の中に恐ろしい仮説が生まれることとなる。
「…そんな…」
「かよちん?」
隣で凛ちゃんが問いかけてきたのにも、私は反応することが出来なかった。
このままでは、確実に、
落選してしまうーーー
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…まずい
最後の10分。ビブスボールで試合が始まったが、俺の中で終始焦りの気持ちが駆け巡っていた。
なぜなら、まだ、この試合で俺がシュートを打った本数が3本しかないからだ。
完全に打てるシチュエーションは山ほどあった。にも関わらず、体はパスという選択を選んでしまう。
(ダメだ…!アメリカでの癖が取れきっていない…!)
それは、アメリカでプロチームにいた頃の癖のせいであった。アメリカのレベルであれば、あそこから追いついてくる化け物が山ほどいる。だから俺はシュートに見せかけてパスを出すといったスタイルを用いていた。
だが、日本ではそこまでの化物は存在しない。なのに、体は勝手にパスという選択をしてしまうのだ。
(くそ…!俺がエースにならないといけないのに、このままだと落選しちまう…!)
アメリカのプロチームの選手。それだけでも期待値は相当なもの。日本代表のエースになってもおかしくないぐらいなのに、肝心のアピールが上手くいっていない。
それが、一層俺を慌てさせた。
ガンッ
「…!やばっ!!」
せっかく打てたシュートを、リングに外してしまうといった凡ミスを引き起こす。
ドリブルも単調になり始め、徐々に追いつかれるようになってきた。
「…くっそ!!」
そんな状態が7分続き、残り3分。
もうダメだ…。その思いが俺の中を漂い始める。焦りが諦めとなり、プレーが惰性へと変わってしまう。
その瞬間だったーーー
「諦めちゃ、駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
会場内に響き渡る、1人の少女の声。
花陽だ。声がした方を見ると、涙を流しながら、顔を真っ赤にしながら花陽が立っていた。隣には凛と、西木野さん。
「そうだにゃ!!諦めちゃ駄目にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「凛…」
「あんた、花陽の彼氏なんでしょ!?花陽が勇気出して叫んでるんだからそれに答えないつもりだったら、私が許さないんだからっっっっ!!!!」
「西木野さん…」
その3人はただひたすら、俺が立ち直るよう、激励の声をかけてくれていた。
彼女達は、諦めていない。
未だに、俺が選ばれると、信じてくれている。
それなのに、
俺だけ諦めるのは、筋
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