210部分:第二十八話 船の上にてその五
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第二十八話 船の上にてその五
「如何ですか?かなりありますので」
「そうですか。それじゃあ」
「御言葉に甘えまして」
青銅の者達はアフロディーテの言葉を受けようとする。しかしここでアルゴルがその彼等の前に出て来て顔を顰めさせて言うのだった。
「おい、あまり飲むのもな」
「あっ、アルゴル」
「慎むようにな。何時奴等が出て来るかわからないのだぞ」
こう言ってその彼等を注意するのだった。
「何時な。出て来るかな」
「それはわかってるけれどさ」
「俺達もな」
こうは言うが言葉の歯切れはいいものではなかった。
「けれどな。何かこの風景見てるとな」
「どうしてもな」
「飲むなとは言わない」
アルゴルもそこまでは厳しくなかった。
「しかしだ。それでもだ」
「飲み過ぎ注意ってことか」
「結局は」
「しかもだ。御前達船酔いは大丈夫なのか?」
アルゴルが次に彼等に問うたのはこのことだった。
「それは大丈夫なのか?」
「ああ、まあそれはな」
「全然な」
「だよな」
彼等はここでその船酔いに気付いたといった感じであった。
「そんなの全然ないぜ」
「安心してくれよ」
「それならいいがな」
アルゴルはそれはいいとした。
「しかしだ」
「しかし?」
「それでも飲むのは程々にな」
「ああ、それはわかってるさ」
「充分な」
これは彼等もわかっていることであった。少なくとも口では。
「だから早速」
「飲もうぜ、あんたも」
「いや、私はいい」
しかし彼はそれは断るのだった。
「今はな。遠慮しておく」
「あれっ、何でだ?」
「折角だからいいじゃないか」
「なあ」
「少しな」
だがここで彼は言うのだった。
「船酔いしかたも知れん」
「あんたがか」
「その顔でか」
「顔は関係ないと思うが」
驚く彼等に対してむっとした顔で言い返す。
「それはまた別の話だ」
「しかし。船酔いか」
「こんな時にまた狂闘士達が来たら大変だな」
「そうだな」
青銅の者達はここでも顔を見合わせ口々に言い合うのだった。
「ペルセウスのあんたが動けないとな」
「いざっていう時にな」
「いや、その時は私がいる」
しかしここでミスティが出て来るのだった。
「アルゴル、今は少し休んでいるといい」
「いいのか。それで」
「案ずるな。雑兵が何百人来ようと私の敵ではない」
悠然とした物腰で彼に語るのだった。
「それこそ何千人とな」
「そうだよな。白銀聖闘士が一人いたらな」
「もう大体いけるよな」
「なあ」
なお雑兵と聖闘士の力の差は聖域においてはあまりにも歴然としている。そして青銅と白銀ではその力の差は天と地程の差があると言われているのである。
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