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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十六話 焦燥
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。こちらもそれなりの対応をしてやらねば礼を失するというものだろう。
「反乱に対処すべきという卿の意見には同意する。しかし我等はローエングラム伯に協力する事は出来ぬ」
「それは閣下お一人のお考えでしょうか? 我等と今聞きましたが」
「私、ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ提督だ」
「……」
「……」
しばらく沈黙があった。オーベルシュタイン准将はゆっくりとした口調で問いかけてきた。
「何故御協力いただけぬのでしょう。御教示頂きたい」
「我等は既に宇宙艦隊司令長官から命を受けた身でな。司令長官から別命有るまでは今現在受けている命を優先せざるを得ぬ。分かるかな、准将。我等に命を出せるのは宇宙艦隊司令長官だけなのだ。それが理由だ」
「……」
「……」
スクリーンを通して互いを見つめる。
「その命とは……」
「控えろ、准将。我等に与えられたのは極秘任務だ、卿が関知する必要は無い」
「……分かりました。そういうことであれば仕方ないと思います。失礼します」
「うむ、ご苦労だった」
分をわきまえるんだな、オーベルシュタイン。我々フェザーン方面軍は司令長官の命により動いている。ローエングラム伯が我々を自由にしようなど越権行為以外の何者でもないのだ。どうしても我らに命を下したければ伯自身が宇宙艦隊司令長官になる事だ。
「アーリング少佐、ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ提督との間に回線を開いてくれ」
「はっ」
「総司令官閣下、何か有りましたか?」
何処か悪戯っぽい口調でルックナー提督が訪ねてきた。“総司令官閣下”、その言葉がどうにもこそばゆい、ルックナー提督はそれを知っていてあえて使ってくる。
「オーベルシュタイン准将から通信が有った」
「オーベルシュタイン? 副司令長官の幕僚だな」
「そうだ」
私とルックナー提督の会話にリンテレン、ルーディッゲ提督の表情が幾分厳しくなった。
「それで彼はなんと?」
「宇宙艦隊は混乱している、ローエングラム伯に協力して欲しいと。指示に従えではなく協力という所が泣かせるだろう」
私の言葉に皆がそれぞれの表情で同意した。リンテレン提督が“小細工ですな”と呟いた。
「それで、総司令官閣下は何と答えたのですかな」
「我等は司令長官の命で作戦行動中だ、我等に命を出せるのは司令長官だけだと答えたよ、ルックナー提督」
「なるほど、それで引き下がりましたか?」
「ああ、あの様子では彼らは司令長官の生死について確証を得てはいないな」
私とリンテレン提督の会話にルックナー、ルーディッゲ提督が頷く。
「総司令官、いっそ教えてやっては如何です」
「今からか?」
「ええ、司令長官は生きていると、万一の場合はメルカッツ提督が宇宙艦隊司令長官になる。
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