第四十三話 世界樹目指して
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合うかもしれないぞ。」
リーファ「あー、うん。 いいのよ。 あそこまで言って戻るわけにもいかないでしょ。」
と言い、リーファは俺とサクマの背中を押して歩き始めた。
野次馬の間をすり抜け、ちょうど降りて来たエレベータに乗りこむ。
最上階のボタンを押して数十秒後、エレベータが停止すると、ドアが音も無く開いた。
白い朝陽と心地良い風が同時に流れ込んで来る。
彼方に殆んど空と同化した色で高く聳える影、世界樹。
キリト「おぉ、凄い眺めだな。」
アリス「わぁー、綺麗ー。」
俺達は、リーファの後に続いてエレベータから降り、数歩歩き周囲を見回した。
アリスが珍しく感情をフルで出してる。
リーファは俺の隣に立ち、言った。
リーファ「でしょ。 この空を見ていると、小さく思えるよね、色んなことが。」
リーファは言葉を続ける。
リーファ「いいきっかけだったよ。 いつかは此処を出て行こうと思っていたの。 一人じゃ怖くて、なかなか決心がつかなかったんだけど。」
キリト「そうか。 でも、なんだか、喧嘩別れみたいな形にさせちゃって。」
サクマ「スマンな。」
リーファ「あの様子じゃ、どっちにしろ穏便には抜けられなかったよ。 なんで、」
この先は、リーファの独り言だった。
リーファ「なんで、ああやって、縛ったり縛られたりしたがるのかな。 せっかく、翅があるのにね。」
この問いに答えたのは、俺の胸ポケットから顔を出したユイであった。
ユイ「フクザツですね、人間は」
音を立てて飛び立つと俺の肩に乗り、小さな腕を組んで首を傾げる。
ユイ「ヒトを求める心を、あんなふうにややこしく表現する心理は理解できません。」
リーファはユイの顔を覗き込み、屈みこんだ。
リーファ「求める?」
ユイ「他者の心を求める衝動が人間の基本的な行動原理だとわたしは理解しています。 ゆえにそれはわたしのベースメントでもあるんですが、わたしなら、」
ユイは俺の頬に手を添えると、音高くキスをした。
ユイ「こうします。 とてもシンプルで明確です。 ママもこうしていました。」
あっけに取られて目を丸くするリーファの前で、俺は苦笑いしながら指先でユイの頭を突いた。
それに、余計な事は言うなよ。
キリト「人間界はもうちょっとややこしい場所なんだよ。 気安くそんな真似したらハラスメントでバンされちゃうよ。」
ユイ「手順と様式ってやつですね。」
キリト「頼むから妙なこと覚えないでくれよ。」
俺とユイのやり取りを呆然と眺めていたリーファは、如何にか口を開いた。
リーファ「す、すごいAIだね。 プライベートピクシーってみんなそうなの
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