第四十二話 囚われた者達
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オベイロン、いえ、須郷さん。」
オベイロン「ティターニア。 僕に顔を見せておくれ」
須郷は舌を舐め回し私に言った。
アスナ「嫌よ。 貴方の顔は眼に毒だわ。」
オベイロン「またつれない事を言う、でもティターニアは此処で起きたことは全部忘れ、そして僕を求めるようになる。 ふふ、時間の問題さ。」
アスナ「絶対貴方なんか求めないわよ。」
オベイロン「いや、すぐに君の感情は僕の意のままになるんだから。 ねぇ、ティターニア。」
須郷はにやにやと笑い浮かんだ顔を鳥籠の外にぐるりと巡らせる。
オベイロン「見えるだろう? この広大な世界には、今も数万人のプレイヤーがダイブし、ゲームを楽しんでいる。 しかしね、彼らは知りゃしないのさ。 フルダイブシステムが娯楽市場のためだけの技術ではないという真実をね!」
須郷は芝居がかった仕草で両手を大きく広げる。
オベイロン「冗談じゃない! こんなゲームは副産物にすぎない。 フルダイブ用インタフェースマシン、つまりナーブギアやアミュスフィアは電子パルスのフォーカスを脳の感覚野に限定して照射し、仮想の環境信号を与えているわけだが、もし、その枷を取り払ったらどういうことになるか。 それは、脳の感覚処理以外の機能、すなわち思考、感情、記憶までも制御できる可能性があるってことだよ!」
私とアヤノさんは、須郷の言葉に絶句するしかなかった。
私は須郷に見て、どうにか声を絞り出す。
アスナ「そんな、そんなことが許されるわけが。」
オベイロン「誰が許さないんだい? すでに各国で研究が進められている。 でもねぇ、この研究はどうしても人間の被験者が必要なんだよ。 自分が何を考えているか、言葉で説明して貰わないといけないからね!」
須郷は、ひっ、ひっと甲高い声で笑いを洩らした。
オベイロン「脳の高次機能には個体差も多い、どうしても大量の被験者が必要だ。 脳をいじくり回すわけだからね、おいそれと人体実験なんかできない。 それでこの研究は遅々として進まなかった。 ところがねぇ、ある日ニュースを見ていたら、いるじゃないか、格好の研究素材が、一万人もさ!」
一万人、それはSAOにログインした人の人数。
そして私は、須郷が何をこれから言おうとしているのか、その先が想像できてしまった。
オベイロン「茅場先輩は天才だが大馬鹿者さ。 あれだけの器を用意しながら、たかがゲーム世界の創造だけで満足するなんてね。 SAOサーバーに手をつけられなかったが、あそこからプレイヤー連中が解放された瞬間に、その一部を僕の世界に拉致できるようルーターに細工するのはそう難しくなかったさ。」
須郷は舌を這わせた。
オベイロン「いやぁ、クリアされるのが実に待ち遠し
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