第三十六話 湖の主
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キリト「あー、っと。」
そう言えばアスナが醤油再現してたな。
俺は一瞬迷った後、口を開いた。
キリト「醤油にごく似ている物に心当たりがありますが。」
ニシダ「なんですとッッ!!」
ニシダは眼鏡の奥で目を輝かせ、身を乗り出して来た。
ニシダをマイホームに案内する。
アスナ「お帰り、そちらの方は?」
キリト「あぁ。 こちら釣り師のニシダさん。」
ニシダ「どうも、えーと、こちらのお嬢さんは?」
キリト「俺の妻です。」
ニシダ「ほう! キリトさん、あなたは幸福者ですな!」
キリト「まったくです。 こんなにいい人と結婚出来るなんて以前は考えられませんでした。」
その後、俺達はニシダさんの釣ってきた魚をアスナに料理して貰い、煮付け、刺身で食べた。
たちまち食器は空になり、熱いお茶のカップを手にしたニシダは陶然とうぜんとした顔で長いため息をついた。
ニシダ「いや、堪能しました。 ご馳走様です。 しかし、まさかこの世界に醤油があったとは。」
アスナ「よかったらお持ち下さい。」
アスナは、キッチンから小さな瓶を持ってきてニシダに手渡した。
恐縮するニシダに向かって、こちらこそ美味しいお魚を分けていただきましたからと笑う。
アスナ「ところで、キリト君が釣ってきた魚は?」
アスナは、こちらを振り向いて聞いてきた。
キリト「えーと。 一匹も釣れませんでした。」
俺は、肩を縮めながら呟いた。
アスナ「一匹も?」
キリト「俺が釣りをしていた湖の難易度が高すぎるんだよ。」
ニシダ「いや、そうでもありませんよ。 あの湖だけ難易度が高いんですよ。 他の湖でなら初心者でも釣れますよ。」
キリト「なん、だと。」
ニシダの言葉に俺は絶句した。
俺の五時間はなんだったんだ。
アスナはお腹を押さえて笑っているし。
キリト「なんでそんな設定になっているんだ。」
ニシダ「実は、あの湖にはですね。」
ニシダは声を潜めるように言った。
俺達は身を乗り出す。
ニシダ「どうやら、主がおるんですわ。」
キリト、アスナ「「ヌシ?」」
ニシダは眼鏡を押し上げながら続けた。
ニシダ「村の道具屋に、一つだけ値が張る釣り餌がありましてな。 物は試しにと使ってみたことがあるんです。」
俺たち三人は固唾を呑む。
ニシダ「ところが、これがさっぱり釣れない。 散々あちこちで試した後、ようやくあそこ、唯一難度の高い湖で使うんだろうと思い当たりまして。」
キリト「大当たり、と。」
と俺が聞いた。
ニシダは深く頷く。
ニシダ「ただ、私の力では取り込めなかった。 竿
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