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おぢばにおかえり
第三十五話 詰所での再会その六

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 そのロビーの中を目だけで見回してからです、私は阿波野君にまた言いました。
「とにかくね」
「はい、今から地下の食堂に降りて」
「御飯食べましょう」
「楽しみですよね」
「その前に」
 御飯の前にです。
「ちゃんと手は洗っておかないと」
「あっ、厳しいですね」
「厳しいっていうか当然でしょ」
 それはとです、私は阿波野君に言いました。
「清潔にしないと」
「東寮はいつもそう言われてるんですか」
「そうよ、普通にね」
「ううん、流石は天理教の寮ですね」
「というか私お家でもね」
 実家でもです。
「いつもお掃除してるわよ」
「先輩のお部屋も」
「そう、お家全体を皆でね」
 家族全員で、です。
「奇麗にしてるの」
「それは凄いですね」
「教会はね、よく人が来られるし」
 だからいつも留守番の人もいます。
「ひのきしんでお掃除するから」
「だからなのね」
「そう、奇麗にしてるの」
 お掃除を毎日してです。
「そうしてるのよ」
「ううん、そう聞きますと」
 阿波野君は地下の食堂への階段に私と一緒に向かいながら腕を組んで言いました。物凄く納得した様な感心した様なお顔で。
「僕もちゃんとしないといけないですね」
「お部屋のお掃除してないのね」
「はい」
 これまたはっきりとした返事でした。
「実は」
「それは駄目よ」
 私は断固とした声で阿波野君に言いました、それこそ注意するみたいに。
「よくある話だけれど」
「やっぱり女の子はそうしたことは、ですか」
「女の子でも片付けない娘いるわよ」
 この現実もです、阿波野君にお話しました。地下に行く階段に入りましたが何か微妙に暗くなりはじめてきた感じがしました。
「性別に関係なくね」
「そうなんですね」
「そう、けれどね」
「片付けないことはですか」
「それは駄目よ」
 またこう注意するみたいに言いました。
「本当にね」
「先輩厳しいですね」
「そういうことからちゃんとしないと」
 お掃除からです。
「おみちはね」
「ひのきしんですか」
「お掃除もね」
「ううん、じゃあ回廊だけじゃなくて」
「お部屋もちゃんとしなさい」
 阿波野君にはっきりと言いました。
「まずはそこからよ」
「わかりましたl、そうしないと駄目ですね」
「そうよ、それからよ」
 まずはと言うのでした。
「ひのきしんは行動あってでしょ」
「言葉じゃなくて」
「そう、それにはね」
「お外のものも大事ですけれど」
「身近もなのよ」
 こう阿波野君に注意しました、二人で一緒に階段を降りながら。
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