第三十五話 詰所での再会その五
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「教会継ぐから」
「奥さんになるんですね」
「お婿さん迎えてね」
こうなることもです、私は阿波野君にお話しました。
「そうなるから」
「じゃあ先輩前期講習とかも受けるんですね」
「大学を卒業してからね」
少なくとも高校を卒業してからと思っています。
「そうなるのよ」
「わかりました、じゃあ僕も講習受けます」
「何でそこでそう言うのかわからないけれど」
本当によく突拍子もないことを言う子だと思います、けれど講習を受けること自体はいいことだと思ったので阿波野君に言いました。
「講習は受けたらいいわ」
「はい、一緒に受けましょうね」
「全く、それで私に教えてくれっていうんでしょ」
「駄目ですか?」
「自分でも勉強しなさい」
私は阿波野君にこう注意しました。
「何でもかんでもじゃなくて」
「やっぱり駄目ですか」
「当たり前よ、自分でも勉強しないと」
それこそです。
「頭に入らないでしょ」
「それもそうですね」
「そうよ、全く」
私はお口を少しむっとさせました。
「そうしていい加減だと困るわよ」
「それでしっかりとですね」
「そうしなさい、少しはね」
「まあ助け合いってことで」
「そういう風に使う言葉じゃないから」
本当に困った子です。
「もっとね、真面目に」
「天理教のことも勉強ですね」
「そうよ、わかったわね」
こう阿波野君に強く言いました、そしてです。
私達は奥華の詰所のところまで来ました、神殿から近い筈なのに阿波野君と一緒ですと随分遠く感じます。
そのうえで、です。阿波野君にまた言いました。
「まずはお昼ね」
「カレーですね」
「そう、日曜だから」
「おぢばの日曜のお昼はカレーですね」
「これ決まってるから」
ただおぢばがえりの時はいつも食べられます。
「しかもおかわり自由」
「いいですね」
「ひょっとして毎週食べてるの?」
「最近そうですね」
こうした時も素直な阿波野君です、にこにことして言います。
「カレー大好きですし」
「安いしっていうのね」
「だって二五〇円ですよ」
お金を支払って食べることも出来ます。
「詰所ですと事前に言っていればそういうのもいらないですし」
「全く、図々しいわね」
「そうですか?」
「そうよ、詰所のお風呂も入ってカレーも食べて」
「寝泊りはしてないですよ」
「どうせ出来たらするでしょ」
「必要な時は」
これまた悪びれない返事でした。
「やっぱり」
「全く、自宅から通っていたらね」
詰所のロビーの中に二人で一緒に入りました、ロビーの中は広くて柱が二つあります。その周りに背もたれのない椅子が柱を囲む様に置かれていてロビーの奥には詰所の事務所があって勤務の人達が働いておられます。
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